追悼:ハンス・ファン・ヒンケル 元国連大学学長のご逝去に関するお知らせ

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  • 2023年7月31日

    Photo: Mike van Bemmelen

    国連大学は、ハンス・ファン・ヒンケル元国連大学学長のご逝去を報告するとともに謹んで哀悼の意を表します。オランダ国籍のファン・ヒンケル教授は1940年6月22日にインドネシアのスマトラ島で生まれ、2023年7月27日、オランダ・デビルトにて83歳で永眠いたしました。

    ハンス・ファン・ヒンケル氏は1992年から1997年まで国連大学理事会の理事を務めました。1997年に国連大学の学長に任命され、2007年に任期を満了しました。ファン・ヒンケル氏のリーダーシップのもと、国連大学の国際活動は大幅に拡大し、持続可能な開発のための教育プロジェクトなど、高等教育に関するグローバルな取り組みが推進されたほか、ベルギー・ブルージュに所在するUNU-CRIS(国連大学地域統合比較研究所)、ドイツ・ボンに所在するUNU-EHS(国連大学環境・人間の安全保障研究所)、そしてマレーシア・クアラルンプールに所在するUNU-IIGH(国連大学グローバルヘルス研究所)など、複数の研究所が新設されました。また、学長在任中、UNU-INTECHとマーストリヒト技術革新経済研究所が統合され、国連大学で2番目に大きい研究所、UNU-MERIT(国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所)が発足しました。国連大学での任期を通じ、理事会、各研究所長、そしてスタッフと良好な関係を保ち続け、他者への気遣いや思いやりのある人物として知られました。

    ファン・ヒンケル教授は当時のコフィー・アナン事務総長との連携を強化し、ニューヨークにある国連本部や国連システム全体と国連大学との協力推進や関係強化に取り組みました。

    2007年11月、日本の国際的地位の向上に寄与した功績が認められ、日本政府から外国人叙勲として最高位である旭日大綬章を受章しました。

    ファン・ヒンケル教授はユトレヒト大学で人間・物理的地理学・人類学・歴史学の理学修士号(1968年、優等)および社会科学博士号(1979年、優等)を取得しました。

    ファン・ヒンケル教授はオランダ・アーネムのトマス・ア・ケンピス・カレッジで地理と歴史の教師としてキャリアをスタートしました(1965-1968年)。その後、ユトレヒト大学の地理科学学部に就職しました(1968-1985年)。1980年には同大学で人間地理計画学教授に就任し、1981年から1985年までは教頭を務め、1985年には理事会理事に任命されました。1986年にはユトレヒト大学の学長に任命され、在任中、知識ネットワークの重要性を訴え、グローバル化の時代における大学間の戦略的提携を推進しました。

    ファン・ヒンケル教授は、1988年から1998年まで、科学技術の最新動向を一般市民、特に若い世代に発信するナショナル・サイエンス・アンド・テクノロジー・ウィーク財団の会長を、2000年から2004年までは国際大学協会(IAU)の会長を務めました。また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に先立ち、持続可能な開発のための教育(ESD)に関する地域の拠点(RCEs)のグローバル・ネットワーク設立など、ESDの推進にも大きく貢献しました。同ネットワークは現在も存続し、サステイナビリティに関するグローバル目標を地元地域に落とし込むための活動を展開する188のRCEsで構成されています。

    ファン・ヒンケル教授は1992年にオランダ王立芸術科学アカデミー(KNAW)の社会科学評議会メンバーに任命されました。1994年には、オランダのベアトリクス女王から、オランダ獅子騎士団の騎士の称号を授与されました。さらに、その功績が認められ、カナダ、ガーナ、ルーマニア、スロバキア、およびアメリカの大学から名誉博士号を授与されました。2001年には、欧州アカデミーのメンバーに任命されました。

    ファン・ヒンケル教授は自然科学と社会科学の架け橋としての地理学の重要な役割を認識し、そのキャリアを通じて、学際的な教育の促進に貢献し続けました。また、現代問題に学際的な教育で対応しようする統合的な「オープン・ジオグラフィー」の概念を推奨しました。ファン・ヒンケル氏は専門分野において積極的に筆をとり、複数の重要書籍、査読付き論文、その他文献を著しました。

    ご遺族は、夫人のベップさん(旧姓テーペン)、ご令息のアウケさん、ご令嬢のマピエさん、2人のご令孫です。

    8月1日から30日まで、国連大学本部の受付にて弔問者芳名録を設置いたしますので、記帳をご希望の方は平日午前10時から午後5時の間にご来学ください。直接お越しになれない方は、宛にメールにて弔辞をお送りください(なお、ファン・ヒンケル教授のご家族がご覧になれるよう、弔辞は英語にてお送りいただきますよう、お願いいたします。)。

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    メディアの皆様へ

    本件に関する詳細は、以下までお問い合わせください:

    国連大学広報部 中張有紀子 y.nakahari@unu.edu 03-5467-1275/080-7078-4193