2020年7月3日 Bonn
国連は7月2日、『Global E-waste Monitor 2020(世界のE-wasteモニター2020)』を発表し、世界の電気電子機器廃棄物(e-waste、バッテリーまたはプラグを搭載した廃棄物)の発生量が、2019年に5,360万トンにのぼると明らかにしました。わずか5年間で21%増加し、記録的な数字となりました。
2019年のe-waste発生量の内訳では、最も多かった地域がアジアで約2,490万トン、次にアメリカ大陸で1,310万トン、欧州で1,200万トンと続き、アフリカとオセアニアがそれぞれ290万トンと70万トンでした。
本報告書は、国連大学が創立メンバーとして参加している「Global E-waste Statistics Partnership(グローバル E-waste統計パートナーシップ)」および国連環境計画(UNEP)などが共同作成しました。
今回の調査結果ではさらに、世界のe-wasteが2030年までに7,400万トンへと膨れ上がり、わずか16年で倍増すると予測されており、これによりe-wasteは世界で最も増加が著しい家庭廃棄物となります。その主な要因としては、電気電子機器の消費率の高まり、そうした機器の寿命の短さ、そして修理の選択肢が少ないことなどが挙げられます。
2019年に発生したe-wasteのうち、回収とリサイクルの対象となったのはわずか17.4%でした。しかし、e-wasteには金や銀、銅、白金などが含まれており、控えめに見積もっても570億ドル(ほとんどの国の国内総生産を上回る額)に相当する貴金属が回収可能であるにも関わらず、処理や再利用目的で回収されることなく、廃棄・焼却処分となっているのです。
一方で、e-wasteは水銀をはじめ、人間の脳や協調系統に損傷を与える有毒な添加物または有害物質も含むため、健康や環境に害を及ぼします。
Global E-waste Monitor 2020によるその他の主な調査結果:
本報告書について、国連大学のデイビッド・マローン学長は次のように述べています。「国連大学も作成に携わった今年のGlobal E-waste Monitorの調査報告書は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた人類の取り組みが不十分であることを示唆しています。電気電子機器の世界的な生産と消費、処分をより適切に、そしてより持続可能なかたちで行うためには、今すぐ取り組みを大幅に拡大していく必要があります。今回の報告書は、現在の危険な世界的状況を変えていく上での緊迫感を示しています」
報告書全文はこちら
本件に関するお問い合わせ
英語:
ルーディガー・キュール:+49-228-815-0213/4, kuehr@vie.unu.edu
テリー・コリンズ:+1-416-878-8712, tc@tca.tc
日本語:国連大学 広報部 mediarelations@unu.edu
Global E-waste Monitor 2020について
Global E-waste Monitor 2020(www.globalewaste.org)は、国連大学、国際電気通信連合(ITU)、国際廃棄物協会(ISWA)が結成したグローバルE-waste統計パートナーシップ(GESP)が、国連環境計画(UNEP)と共同作成した報告書です。今回の報告書には、世界保健機関(WHO)とドイツ経済協力開発省(BMZ)も作成に加わりました。
グローバルE-waste統計パートナーシップ(GESP)について
GESPは、国際的に広く認められた統一的な測定枠組みを用いて、国内の政策立案に役立つ統計の取りまとめに寄与しています。GESPには、政策立案者や統計学者、業界の代表者たちが集い、e-wasteに関するデータの質とその理解、解釈の向上を図っています。持続可能な開発目標(SDGs)のうち、持続可能な街づくり、また消費および生産に関する、ターゲット11.6、12.4および12.5の実現に向けた進捗状況を測定することで、関連する廃棄物の流れの監視に貢献しています。