東日本大震災から9年:悲劇的な災害が防災に関する効果的な連携を後押しへ

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  • 2020年3月16日     日本

    宮城県女川町にて、津波によって横倒しになった建物 © UNU-EHS / Joerg Szarzynski

    9年前の3月11日、地震と大津波が東北地方の太平洋沖を襲い、岩手、宮城、福島の3県は大きな打撃を受けました。2011年3月11日(金曜日)の午後2時46分に起きたマグニチュード9.0の海底地震により、高さ40メートルにも及ぶ大津波が発生し、村や町全体を呑み込んだほか、数千人の命が奪われました。さらに福島第一原子力発電所では、炉心溶融(メルトダウン)も発生しました。

    東日本大震災は、観測史上日本最大の地震となりました。そして、日本のような高度な先進国で、地震や津波に古くから取り組んできた地域であっても、このようにごく稀な影響力の大きい災害が生じた場合、既存の早期警報システムや緊急対応策に限界があることが明らかになりました。被災地では、先進的な耐震構造の建物によって、地震自体による大きな損害こそ免れたものの、これに続く津波が数千人の命を奪いました。

    被災し町の職員たちが犠牲となった宮城県南三陸町の防災対策庁舎 © UNU-EHS / Joerg Szarzynski

    一方で、東日本大震災によって生じた、特に福島県での劇的かつ長期的な社会経済への影響は、これまでのどのような災害よりも、日本でのイノベーションや科学研究、技術開発への取り組みを大きく後押ししました。このような破壊的な災害に対するコミュニティの回復力(レジリエンス)向上に関する研究を前進させるという本来の必要性に加え、気候変動による悪影響も合わさり、例えば仙台にある東北大学は、科学分野を拡大する大がかりな取り組みを行いました。東北大学が創設した災害科学国際研究所は、地震と津波の災害科学および減災に関して、世界トップレベルの研究を行っています。東北大学はまた、災害科学・安全学国際共同大学院プログラムも開発しています。この大学院プログラムでは、これからの研究をリードする研究者に対し、世界水準の教育を提供することを目指しています。「災害科学・安全学」は国際研究の重要クラスターに指定され、社会のレジリエンスと人間の安全保障に重点的に取り組む国際志向の研究者の育成を教育上の目的としています。

    同時に、震災を受け、東北大学と国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)との連携も強まりました。UNU-EHSは、東日本大震災2周年となる年、東北大学と共同でワークショップを開催しました。このイベントは研究者にとって、震災を機に得られた教訓を検証し共有する場となりました。

    これを機に両研究機関の共同活動がさらに促進されることとなり、その後の学術イベントや、被災地における人間の安全保障と脆弱性に関する能力開発の取り組みが行われました。この連携の大きな節目となったのが、第3回国連防災世界会議への共同参加でした。本会議は2015年に仙台で開催され、国際社会による「仙台防災枠組」の採択で幕を閉じました。

    こうした連携は現在も継続され、2020年1月にはUNU-EHSの代表団が東北大学を訪れて各学部と交流し、共同研究や能力開発、ワークショップ、学生・職員交換など、さらなる連携の機会を検討しました。代表団はまた、東北大学青葉山キャンパスで全学対象の講演を行い、緊急時対応準備や21世紀のリスク管理などについて話しました。

    国連大学は連携パートナーとの国際協力と知識の交流を通じて、リスクの把握、備えの強化、社会のレジリエンスの向上をさらに推し進め、将来の災害によりよく備えるための取り組みを続けていきます。

    津波の被害を受けた女川小学校 © UNU-EHS / Joerg Szarzynski