第68回国連総会議長による特別講演

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  • 2014年4月14日     東京

    2014年4月2日、国連大学は日本外務省とともに、ジョン・W・アッシュ第68回国連総会議長による特別講演、「ポスト2015年開発アジェンダ:土台作り!」を開催しました。

    アッシュ議長は講演で、第68回国連総会、国連加盟国、関連ステークホルダーによるポスト2015年開発アジェンダのための土台作りへの取り組みを明らかにしました。そして、開発の領域での主要な重点分野の特定に際し、ミレニアム開発目標(MDGs)が重要な役割を果たすことを指摘しました。

    いくつかのMDGsは、国家間で、また国内でもばらつきがあるとはいえ、達成に向けて進展していますが、一部のMDGsは2015年12月31日の期限までに達成されそうにないことを議長は認めています。なかでも、世界の貧困を半減させるという目標は達成されましたが、貧困(とくに極度の貧困)の撲滅に向けて、今なお取り組みの加速が必要です。援助資金の減少と環境への懸念の増大を考えると、ポスト2015年開発アジェンダを確立するには、いくつもの大きな課題を乗り越えなければならないでしょう。

    2012年にリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、国連加盟国は開発というテーマのもとでの持続可能性の重要性を明確にし、現行MDGsを引き継ぐことになる、いわゆる「持続可能な開発目標(SDGs)」の策定に尽力しました。議長はその過程で、あらゆる背景を持つあらゆるレベルのステークホルダーを関与させるボトムアップ型のアプローチが必要であることを指摘し、開発のためのグローバル・パートナーシップの推進(MDGs目標8)に注目し直すための新たな取り組みの必要性を訴えました。

    アッシュ議長はまず、今後のSDGs策定の基礎となる重点分野の特定に向けて、国連総会の決定により設置された、30カ国によるオープン・ワーキング・グループ(OWG)が実施する活動について紹介しました。現行MDGsの一部をそのまま引き継いだものではありますが、現在、19の重点分野が特定されており、貧困の撲滅と持続可能な開発に統合的なアプローチを導入することで、開発アジェンダが次の段階に進むことを示しました。これらの重点分野は、雇用や若者から水、エネルギーに及びます。

    2015年9月のサミットでのポスト2015年開発アジェンダの採択に先立ち、優先事項を絞り込むために、報告書の編纂と、一連のハイレベル・イベントやテーマ別討論が行われています。こうしたイベントやそれによる成果は、国連事務総長による統合報告書にまとめられ、2014年末までに発表されることになっており、第69回国連総会での政府間交渉の指針として活用されます。アッシュ議長は、いかなる目標であれ、合意された目標を達成しようとするのなら、持続的な資金供給を確保する必要があることを強調しています。

    また、学術機関にも科学的・技術的研究への貢献を促しており、持続可能な開発の3つの側面、すなわち環境、経済、社会を研究対象にすることを求めています。アッシュ議長は、ポスト2015年開発アジェンダの土台作りのために、国連大学が国連機関という立場で担いうる重要な貢献を明らかにしました。

    この講演の最後には、ポスト2015年開発アジェンダの土台作りで人々が果たす役割と、SDGsの目的について質疑がなされ、参加者とアッシュ議長の間で洞察に富んだ議論が行われました。