人類の共通遺産である地球環境の保全 ~気候変動対策の公平な合意をめざして~

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  • DATE / TIME:
    2010年2月2日
    場所:
    東京

    プログラム

    10:15–10:20 歓迎の辞

    武内和彦 国連大学副学長、国連大学サステナビリティと平和研究所(UNU-ISP)所長

    10:20–10:50 基調講演

    フェリペ・カルデロン・イノホーサ メキシコ合衆国大統領

    「人類の共通遺産である地球環境の保全~気候変動対策の公平な合意をめざして~」

    10:50–11:15 ディスカッション

    モデレーター:浜中裕徳 IGES理事長

    コメンテーター:船橋洋一 朝日新聞主筆、武内和彦 国連大学副学長

    メキシコのフェリーペ・カルデロン大統領は本日、国連大学の第16回ウ・タント記念講演で、気候変動の公平な合意について講演されました。講演は立ち見も出るほど盛況でした。

    昨年12月にコペンハーゲンで行われたCOP15気候変動サミットは残念な結果に終わりましたが、カルデロン大統領は、各国が自信と信頼を取り戻す必要があることを強調しました。メキシコは今年の11月から12月にかけてカンクーンで開かれる次の気候変動サミット―(COP16)で議長国を務めます。

    カルデロン大統領は、先進国は気候変動について行動する責任があるが、現在、地球温暖化ガスの総排出量の半分以上は途上国の責任であると述べました。「先進国だけで二酸化炭素削減に取り組んでも十分ではありません。全員の参加が必要です」と大統領は語りました。

    完全な合意に至ることのむずかしさは理解しつつ、カルデロン大統領は「合意原則とは、いくつかの国は合意を拒否してもかまわないということではありません」と述べました。

    カルデロン大統領はメキシコが行っている緩和・適応イニシアチブを紹介し、特に気候変動と貧困削減を関連付ける計画について語りました。自分と家族を養うのに精一杯の人々には、気候変動という抽象的な脅威に立ち向かう意欲がほとんどありません。しかしこの人たちにふりかかる長期的な影響は非常にきびしいものがあります。「既存の経済秩序を変えなければなりません」と大統領は語り、新しい技術やエネルギーへの投資が生み出す長期的な恩恵を、雇用や生活の改善といった形で今日の人々にどのようにもたらすかという、「異時的問題」の解決が必要だと述べました。

    カルデロン大統領の講演後、朝日新聞主筆の船橋洋一氏、国連大学副学長の武内和彦氏が加わり、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長の浜中裕徳氏の司会によるディスカッションが行われました。

    フェリーペ・カルデロン・イノホーサ大統領は2006年12月1日にメキシコ合衆国大統領に就任。任期は6年。2003-2004年にはエネルギー省長官を務めました。メキシコのエネルギー部門のトップとして、またメキシコ国営石油公社(PEMEX)、連邦電気委員会議長、およびルス・イ・フエルサ・デル・ セントロ電力会社の理事会議長として、国有企業の近代化を推進しました。

    政治家としては国民行動党で調査担当秘書(1987年)、全国青少年担当秘書(1991年)、事務局長(1993年)、連邦選挙機関のPAN代表 (1994-1995年)を歴任。1995年にミチョアカン州知事選に候補として出馬。2000年、第58回国会の国会議員に当選し、PANの国会グルー プ・コーディネーターに任命されました(2000-2003年)。

    カルデロン大統領は法学士(エスクエラ・リーブレ・デ・デレーチョ)、経済学修士(メキシコ自治工科大学)、および行政学修士(ハーバード大学 ジョン・F・ケネディ・スクール)の学位を持つ。また在メキシコ米国商工会議所から「NAFTA議会指導者賞」、メキシコ製造業会議所 (CANACINTRA)から「CANACINTRAイーグル賞 行政上の功績賞」を授賞。1997年から2000年まで世界経済フォーラムの「世界の未 来のリーダー」のメンバーを務めました。

    主催:  国連大学、日本学術会議

    協賛:  朝日新聞、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)

    後援:  株式会社イースクエア