2012年12月14日
Photo: C Christophersen/UNU
2012年11月28日、東ティモール前大統領で1996年ノーベル平和賞受賞者であるジョゼ・ラモス=ホルタ氏が、東京の国連大学本部で第20回ウ・タント記念講演を行いました。講演に先立って、国連大学コミュニケーション・オフィスはラモス=ホルタ氏を取材し、洞察に富んだビデオインタビューを収録することができました。このインタビューでは、氏がアジアと東ティモールにおけるその幅広い経験を通して目にしてきたもの、そしてアジア全体のガバナンスと開発に関して学んだ教訓を垣間見ることができます。
インタビューの中でラモス=ホルタ氏は、アジアの技術的・経済的な潜在力について力強く語りながらも、アジアの持続可能な開発を導くうえで人権と平等な市民社会が極めて重要であるということを強調しています。「アジアには、繁栄、科学、技術、極度の貧困や無教養の排除の面で、また極度に損傷した環境の修復の面で世界の最先端を行く地域として台頭する真のチャンスがあります。……しかし実際のところ、アジアは大きく分裂しているのです」と、ラモス=ホルタ氏は言います。
さらに、本当の進展は各国が女性の権利、宗教の自由、社会的平等などの基本的な問題に関する「原始的信念」を乗り越えた時に初めて達成されると語ります。同様に、地域全体の経済・環境政策を達成するためには、天然資源に対する権利を主権国の主張に基づくソリューションにとらわれない新たな方法で管理する必要があると言います。
また、資源紛争の例として南シナ海の領海をめぐる争いを取り上げ、全地域的な妥協と協調が唯一の有益な道であるという考えを示します。さらに、次のように提唱します。「アジアを潜在的な協力地域、共同開発のための平和地域ととらえるべきです。……私たちはアジアを友情と協力の地域とします。……この地域の歳入を共同基金とし、最貧国を優先しつつアジア全体の共通の利益のために活用すべきです」
ラモス=ホルタ氏の前向きなアジア展望の多くは、苦難に満ちた過程を経て東ティモールを現在の社会政治的成功へと導いたその生涯にわたる経験に基づいています。東ティモールの成功はアジア地域における紛争克服の確かな模範になり得るとラモス=ホルタ氏は考えます。ラモス=ホルタ氏は和解の道を繰り返し強調するとともに、「応報的正義」ではなく「修復的正義」が重要であると指摘し、次のように話します。「インドネシアの東ティモールとのかかわり方、また我が国のインドネシアとのかかわり方は、紛争状態にある国がいかにして過去を乗り越え得るかを示す素晴らしい実例です。アジアで東ティモールとインドネシアほど良い関係を築いている二国は他にありません」
このインタビューのテーマ別ビデオクリップは、国連大学ユーチューブチャンネルのインタビュープレイリストでご覧いただけます。