2011年10月27日
Photo: Chun Knee Tan
バングラデシュの独立記念日に敬意を表して作られた全3回シリーズ。第2回では、気候変動が引き起こす地域の問題に、バングラデシュの人びとがどのように取り組んでいるかを追う。例として 、降水パターンが次第に予測不可能になっている問題などをあげる。
気候変動は、バングラデシュの農民たちにも影響を及ぼしている。自分たちの土地から十分な食料を収穫することが、難しくなってきているのだ。かつては、伝統的知識に基づいて、雨が降る時期を正確に予測することができた。降水パターンに従って種をまき、命の糧となる作物を得ることができた。しかし今や、雨は予測に従わなくなってしまった。人びとは、できる限りこの新たな現実に適応する必要に迫られている。
国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)の研究者、チュン・ニー・タン氏は、国連自然保護連合(IUCN)と共に、この地域の直面する課題に取り組み、地元の人々に環境の変化に対応する力をつけようとしている。
UNU-ISPとIUCNは、あるプロジェクトを共同で作ってきた。これは、気候変動の影響にさらされているバングラデシュの人びとを、生物多様性条約や国連気候変動枠組条約といった多国間環境条約の戦略に巻き込もうとするものだ。
Community-based Implementation and Compliance of Multilateral Environment Agreements(「多国間環境条約の地域における実施及び遵守」)(CICMEA)プロジェクトと呼ばれ、条約を取り巻く問題について地域社会によりよく伝えることと、国の方針や行動計画を実施するにあたり、地域の人々から助けや情報を得ることを目的としている。
ビデオ映像に登場するクヒノアという女性とその夫は、予測のつかない気候に苦しめられてきた。かつては、beel(ビール)と呼ばれる彼らの小さな池は魚であふれていたが、今ではその数は著しく減ってしまった。気温が極端に変わるため、家族や友人は以前よりも頻繁に風邪を引くようになり、さらに、果物や野菜を襲う害虫が大発生している。
IUCNは、CICMEAプロジェクトの一環として、地域社会でワークショップを開いている。ビデオでは、フルバリア村の女性たちのために開かれたワークショップが紹介されている。クヒノアもこのワークショップに参加した。参加者たちは、自分たちの住む地域の地形を細かく地図に描き込み、ここ20年のうちに起こった変化を記し、地域社会にある資源のうち、自分たちの抱える問題に取り組むにあたって助けとなるようなものをリストアップしていく。この過程を通して、行政やNGOから最終的にどのような援助を受ける必要があるのかを、決めることができる。
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気候変動がバングラデシュの人々にもたらした問題については、このシリーズの 第1回もぜひご覧ください。このシリーズでは、困難に負けないバングラデシュの人々に焦点を当てています。また、国連大学が、NGOと共同で知識の共有基盤を作成し、気候変動への適応に取り組む様子をお伝えします。
翻訳:山根麻子