海はみんなのもの

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  • 2015年12月2日

    メアリー・フランシス・ダビッドソン

    The Global Goals

    この記事は、国連大学の「17日間で17の目標」シリーズの1つであり、国連の持続可能な開発サミットに対して補足する形でのリサーチおよび論評を特集しています。

    目標14: 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

    沿岸地域に住んでいても、海から離れた山の上に住んでいても、あなたの生活は世界の海洋から影響を受けています。海は、地球の気温や気候パターンの調節において重要な役割を果たしており、太陽の熱を吸収して、それを複雑な潮流系を通じて地球全体に分配する巨大なソーラーパネルのような役割を果たしています。

    次に新鮮な空気を吸い込む時には、海に感謝しましょう。微小な植物プランクトンは地球上の酸素の約半分を生成し、海の生態系を支える基盤となっています。この小さな生き物は、世界人口の約10%の生活を直接支える水産資源など、より大きな生物種の生存にとって欠かせないものです。

    海は地表の約70%を占め、地球上の生物のおよそ50~80%が海で生息しています。しかし実のところ私たちは、海底のことについて、月や火星の表面のことよりもよく知らないのです。

    持続可能な開発目標(SDGs)に目標14を含めることで、国際社会は、海洋の重要性、ならびに「私たちが望む未来」を築くために海洋が果たす役割の認識に向けて重要な一歩を踏み出しました。

    海洋保護区域の設定によって繊細な海洋生態系を守ることや、人間による消費のために海洋資源を慎重に管理すること自体が目的ではありません。海洋の管理は、持続可能な開発の基本的目標を達成するための手段なのです。最も弱い立場にある人々も良質な食料を手に入れられるよう、水産資源を管理しなければなりません。社会や個人が貧困から脱却できるよう、持続可能な生活を提供するための方法として、海洋資源を利用しなければなりません。地球上の生命にとって不可欠な生態系が、これからも繁栄し、回復力を保ち続けられるようにしなければなりません。

    海洋の健全性は地球上の生命にとってきわめて重要であるにもかかわらず、残念ながら今、その健全性は脅かされています。サンゴ礁やマングローブなどの繊細な生息環境は長きにわたって危機に瀕しており、国連食糧農業機関の推定によると、調査が行われたすべての水産資源のうち、約80%が最大限まで漁獲されているか、過剰に漁獲されています。

    地球の自然資源を管理する

    人間や社会が海からどれだけの恩恵を被ることができるかは、私たちが海をどのように管理するかによって決まります。水産資源は再生可能ですが、多くの開発途上国では、管理が不十分で乱獲が行われています。乱獲の圧力は、生物学的影響と経済的影響の両方をもたらします。適切な政策や、生態系の健全性と水産資源の状態を評価する能力が欠けているせいで、十分な管理手段を考案し実施することが困難となっています。このことは、水産資源だけでなく、適切な処理、加工、マーケティングによって水産物の経済的価値を高める人間の能力にも悪影響を与えています。

    1980年代半ばには、開発途上国が世界の漁獲量に占める割合は50%未満でしたが、今では75%を超えています(世界の総漁獲量はほぼ同じ)。先進国の水産資源の乱獲は、開発途上国における漁業の拡大や、魚とその加工品の貿易の増加によって相殺されています。つまり、乱獲の問題が豊かな国から貧しい国に輸出されたということです。

    同時に魚は、より貧しい国の人々の食生活において、動物性たんぱく質とさまざまな栄養素の供給源としてさらに重要になりつつあります。世界の漁獲量の半分近くが、開発途上国の2,500万~3,000万人の小規模漁師によるもので、漁師1人あたりの平均漁獲量は年間1.5トン未満です。その他の7,500万人は獲れた水産物の加工や売買によって生計を立てていますが、劣悪な処理・加工方法のせいで、栄養価(と潜在的所得)が大きく損なわれています。

    成功を評価する

    それでは、私たちの取り組みの成否を知るにはどうすればいいのでしょうか?強力かつ測定可能な一連の指標が必要です。

    漁業に頼っているコミュニティは豊かになったか。栄養状態が改善され、魚や水産物の入手可能性は向上したか。水産業の排出量が減少し、健全な海洋生態系が実現したか。このような点を評価する必要があります。

    適切なデータの収集と管理は、目標14達成のカギとなります。最終的にSDGsは、「私たちが望む未来」への道筋を定めることにより今後15年間の優先事項を私たちに示してくれます。

    2030年に目標14の達成に向けた進展を振り返る時、私たちは、海洋管理の改善によってプラスの影響がもたらされたということを裏付ける、海とそれに依存するコミュニティについての良質なデータを手にしていなければなりません。さもなければ私たちは、持続可能な未来へと至る道を進むのではなく不確実性の海を漂っているだけだと、認めざるを得なくなってしまうでしょう。

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