自然資源は持続可能な成長の原動力となりうる

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  • 2015年11月12日

    カルヴィン・アテワンバ and プレイズ・ヌタコ

    The Global Goals

    この記事は、国連大学の「17日間で17の目標」シリーズの1つであり、国連の持続可能な開発サミットに対して補足する形でのリサーチおよび論評を特集しています。

    目標8: すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する

    国連加盟国は今、ミレニアム開発目標(MDGs)の成果を足掛かりにしてさらに前進するための準備をしています。しかし、MDGsのもとで大きな成果が見られたものの、基本的な経済問題に取り組まない限り、これまでのような進展を維持することは難しいでしょう。

    MDGsの焦点は「人間」開発の目標にありました。一部の人たちは、多くの後発開発途上国(LDC)がMDGsの目標のほとんどを達成できなかったのは、MDGsのアジェンダから「経済」開発の要素が抜けていたせいだと主張しています。このような意見がきっかけとなって、環境・経済・社会問題を包含する、より幅の広い総合的な開発目標、すなわち持続可能な開発目標(SDGs)が策定されることとなったのです。

    ポスト2015年開発アジェンダを達成するためには、強固な経済的基盤が欠かせません。そのための手段には、(自然資源の利用と環境への影響を経済成長から切り離すことをともなう)経済の構造転換と、(とくに労働生産性の向上とディーセント・ワークに関連する領域における)雇用のための支援が含まれます。これらの基本的な経済的目標は、SDGsの目標8で取り組まれます。

    目標8の主なターゲットは、LDCで少なくとも年間7%のGDP成長を達成し維持するというものです。世界銀行の 報告によると、2013年のLDC全体の年間GDP成長率は推定2%強ですから、これは非常に厳しいターゲットです。

    2030年までにこのターゲットを達成するためには、LDCの経済パフォーマンスに革命を起こす必要があります。LDCの人口の3分の2は農村部に住んでおり、農業とその他の自然資源(鉱物など)の開拓を主な生計手段としているのですからなおさらです。したがって、LDCの経済パフォーマンスを高めるためには、さらなる技術変革、投資、イノベーション、ならびに(とくに農業およびその他の自然資源部門の)労働生産性の向上が必要となります。

    しかしLDCでは、これらの部門にかなりの余剰労働力が存在し、生産性も非常に低いため、所得潜在力が低くなっています。さらに、これらの部門でイノベーションと規模の経済を実現できる可能性は、多くの場合あまり高くありません。

    LDCのこうした部門で労働生産性が高まると、農村部で余剰労働力が生まれ、都市で吸収しきれなくなります。ですから、農村経済の多様化が必要なのです。そのためには、観光、鉱業、木材加工などの非農業部門の開発と、(生産性の向上による価格低下が収入に打撃を与えることのないよう)供給とともに拡大する需要を生み出す能力が求められます。

    製造業部門が生産性の向上に独特の貢献を果たすということが、さまざまな研究で強調されています。例えば、国連工業開発機関が2013年に開発途上国50カ国を対象に行った研究を見ると、1人当たり経済成長率と GDPに占める製造業付加価値の割合の平均変化率との間には強い相関関係があるということがわかります。このことは、LDCの全体的な生産性の向上は生産資源を農業やその他の自然資源部門から製造業部門にシフトすることによって達成可能だということを示唆しています。

    「持続可能な開発に関するグローバル報告書」(2015年)では、製造業部門の開発が、生産と生産性を通じた経済変革の主な戦略として掲げられています。また、製造業部門の開発は、技術的・組織的能力の育成、ならびに持続的なイノベーションの促進とディーセントな雇用の創出のためにも不可欠です。この意味で、農業やその他の自然資源部門から製造業へのシフト、およびこれらの各産業部門内の活動間におけるシフトは、LDCの長期的な成長と雇用潜在力に重要な影響を及ぼします。多くの国、とくにサハラ以南のアフリカ諸国にとって、工業化への入り口は自然資源を基盤とした産業です。

    私たちは、開発の潜在的影響に留意して、環境悪化により大きな注意を払わなければなりません。これはつまり、自然資源の持続可能な利用によって長期的な地球規模の成長を推進するということを意味します。SDGsの目標8とその他の目標(とくに目標6、13、14、15)の達成は、本質的にグリーンな成長を必要とします。そのためには、国連大学アフリカ自然資源研究所(UNU-INRA)などの組織が、包摂的な成長に向けて資源のより効率的な利用、リサイクル、廃棄物管理を通じた生産性の向上を目指し、より政策関連性の高い研究を行うことが間違いなく必要です。

    SDGs目標8のもう1つのターゲットは、2030年までに若者や障害者を含むすべての人々のための生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを達成するというものです。多くの開発途上国の分断された労働力構造(近代部門は比較的生産性が高く、低迷する伝統部門は生産性が低い)、および生産性と雇用創出の間のトレードオフの関係を考慮すると、変革的な政策開発に向けた総合的アプローチを奨励することが重要となります。このアプローチは、多くの開発途上国の構造転換をめぐるさまざまな課題に適切に対処するため、マクロ経済政策、貿易政策、投資政策、産業部門別政策、労働市場政策、金融政策のすべてにおいて首尾一貫していなければなりません。

    SDGsの実施においては、政策が自然資源の効率的な利用、労働市場の構造転換、製造業部門の発展を支援するものであることが重要です。これがおそらく、とくにLDCにおいて、真に包摂的で持続可能な経済成長を推進するための唯一の方法なのです。

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    Calvin Atewambaプレイズ・ヌタコによる『Natural Resources Can Drive Sustainable Growth 』は、Creative Commons Attribution 3.0 United States Licenseの条件を採用しています。