消費者は持続可能性の先導者となりうる

,

トピックス
  • 2015年12月2日

    ザファル・アディール

    consumers-vanguards-sustainability

    Photo: Thomas Hawk, Creative Commons BY-NC 2.0

    この記事は、国連大学の「17日間で17の目標」シリーズの1つであり、国連の持続可能な開発サミットに対して補足する形でのリサーチおよび論評を特集しています。

    目標12: 持続可能な消費と生産のパターンを確保する

    2030年開発アジェンダは社会的発展、経済成長、および環境の持続可能性を達成する方法を一新する非常に意欲的なアプローチだと、多くの人が明言しています。そのことを何よりも如実に表しているのが、「持続可能な消費と生産のパターンを確保すること」を目指す持続可能な開発目標(SDGs)の目標12です。一見したところ、何となく当たり障りのない目標のように思われますが、目標12にはとてつもなく意欲的で困難なターゲットが含まれています。

    この目標を達成するためには、政府、企業、および個人の側において、大幅な(場合によっては劇的な)行動の変化が必要となります。政府は、非常に幅広い活動領域において、自然資源の過剰消費を抑制して廃棄物の発生を削減するための新たな規制や法律を導入する必要に迫られるでしょう。このような法的枠組みを構築するのは容易なことではなく、地方の要求や状況に対応できるよう、広範な審議が必要となります。しかし、より大きな課題はその実施過程にあります。

    とりわけ開発途上国では、実施と執行に関する経過はさまざまです。他方、ガバナンス面で最も大きな成功を収めているのは、(指揮統制型のアプローチに頼るのではなく)政府が単純に助力者としての役割を果たしている場合です。こうした成功事例をさらに研究し、カスタマイズし、さまざまな国で使用できる形に転換する必要があります。

    企業や産業部門の行動の変革は、適切な誘因がともなう場合、かなりうまくいきます。政府からの誘因は、新たな規制による圧力や促進的な条件という形をとります。また、消費者の需要の変化を受けて、民間企業の業務活動が変化することもよくあります。

    ここで、この方程式の最も難しい部分に行き当たります。つまり消費者の行動の変革です。人間の行動を(コミュニティ、都市、または国レベルで)変えることは、困難であるだけでなく非常に時間のかかる持続的なプロセスだということが、数多くの研究で実証されています。

    大規模な行動の変革は、情報の普及、意識改革、周囲からの圧力、金銭的インセンティブ、社会的報酬、規制の実施といった要素の組み合わせを必要とします。これらの構成要素を正しく組み合わせる作業は、厳密な科学というよりは一種の芸術です。

    例として、食料廃棄パターンについて考えてみましょう。現在、先進国と開発途上国で、約40~45%の食料が無駄に廃棄されています。その主な原因は、先進国では過度に無駄の多い行動パターンであり、開発途上国では適切な加工設備および/または貯蔵設備の不足です。

    現在、2050年までに食料の提供を約70%増やす必要があるということが分かっています。生産を増やすだけではこの需要を満たすことはできません。豊かな土地のほとんどはすでに耕作済みであり、土地の劣化によって生産性が低下しつつあるからです。したがって、食料の無駄をなくす、または最小限に抑えることは、世界の食料安全保障の実現における要となります。しかしそのためには、大々的な広報キャンペーンとともに、1人当たりの食料廃棄量を半減させるというターゲットの達成に向けた能力育成が不可欠です。

    自然資源の持続可能で効率的な利用もまた、同様に困難なターゲットです。消費者が製品に使用されるバージン材料の調達を改善するよう要求すれば、鉱業、製造業、小売業の企業は自らの行動パターンを変えざるを得なくなるでしょう。この方面では部分的な成功例が見られます。北米の多くの地域ではフェアトレードコーヒーに対する需要があり、持続可能な林業によって生産された木材の調達が普及しつつあり、多くの産業の製造過程においてリサイクル材料の使用率が高まっています。しかし、大規模な消費者圧力によって生産プロセスに根本的な変化が生じた例は、まだ多くは見られません。

    消費パターンと生産プロセスを変えることに内在する難しさに加えて、ターゲットの定義が具体性に欠けていることも、目標12の問題点です。ターゲットの1つは廃棄物の発生量を「大幅に」削減することですが、これではあいまい過ぎてほぼ無意味であり、ほとんど無視されてしまうでしょう。もう1つのターゲットは、企業や公共部門のそれぞれに対して「持続可能な慣行」を採用するよう求めるものです。持続可能な開発の概念は1980年代の終わりごろから広まっており、アジェンダ21は重要な詳細や本質を伝えてきましたが、その実践的応用は、分散的かつ多様で、効果的ではありません。

    しかし、内在的な難しさがあり、具体性に欠け、実践的応用にも課題があるものの、目標12は持続可能性の一般的原則を明確に表しています。2030年開発アジェンダにこの目標が含まれていなかったら、開発枠組みは不完全で効果のないものとなってしまうでしょう。

    そこで肝心なのは、それぞれのターゲットに対応した具体的で有意義な指標を確立することです。SDGsの実施を進めるにあたって、政府や国際社会は、消費者を教育して彼らに情報を提供するための投資について真剣に検討しなければなりません。さらに、開発途上国が持続可能な消費と生産を達成するためには、大々的な能力育成や技術移転も必要となります。

    最も重要なのは、先進国が自らの消費パターンを大幅に変える必要があるということです。「汚い」(汚染の深刻な)製造業や採取産業をアウトソーシングすることは、目標12の達成にふさわしい行動とはみなされません。有害な補助金に対する監視の目も、より厳しくなるでしょう。

    先進国と開発途上国の両方において持続可能な開発目標を普遍的に実施することは、非常に大きな改革なのです。

    •••

    Creative Commons License

    ザファル・アディールによる『消費者は持続可能性の先導者となりうる』は、Creative Commons Attribution 3.0 United States Licenseの条件を採用しています。