気候変動との闘い:今がその時

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  • 2015年12月2日

    フィリップ・ヴォーター

    The Global Goals

    この記事は、国連大学の「17日間で17の目標」シリーズの1つであり、国連の持続可能な開発サミットに対して補足する形でのリサーチおよび論評を特集しています。

    目標13: 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急の措置を講じる

    2009年に、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)でクリスティーナ・オラさんがスピーチをした時、彼女もUNFCCC もともに17歳でした。オラさんは世界の若者を代表して、各国の交渉団に対して単刀直入にこう指摘しました。「皆さんは私が生まれてからずっと交渉を続けてきました。ですから、もっと時間が必要だとは言わせません」

    UNFCCC などの国際的なプラットフォームに関与する人々の多くは、緊急の行動を求める声に落胆しています。結局のところ、気候変動は複雑な問題であり、その解決は長期的な取り組みを要します。しかし、具体的な決断を先延ばしにすれば、気候変動への対応という負担をさらに次世代に先送りすることになるのではないでしょうか。ポスト2015年開発アジェンダの中の持続可能な開発目標(SDGs)の目標13に気候変動との闘いが掲げられたからには、今後ますます多くの利害関係者がこの問いに取り組まなければならなくなるでしょう。

    明日は明日の風が吹く…

    「共通だが差異ある責任」という概念は、つねにUNFCCC の基本原則となってきました。それは、気候変動への対応における各国それぞれの能力や責任を認める考え方です。

    しかし今、この概念を超えて、世代間の平等という考え方が気候変動に関連してしばしば提起されます。その意図するところは一般的に、支配権を持つ世代が次世代に気候変動への対応手段を受け渡すということです。

    これは基本的に、親世代と子世代の間の「クリーン開発メカニズム」という概念につながります。「クリーン開発メカニズム」とは、ある集団が、必ずしも自らの排出量を削減することなく、別の集団に排出削減のための特定のツールや技術を提供するというメカニズムです。UNFCCC は、各国は自らの過去の排出について責任を負わなければならないという考え方のうえに設立されていますが、この考え方は世代グループには当てはまらないようです。

    …でも今こそチャンス

    今日の若者たちに気候変動の負担を担わせることが「公平か」ということより、もっと的を射た質問は、そうすることが「賢明か」、あるいは「持続可能か」ということでしょう。

    現在、地球上の人口の大半が30歳未満です。世界の多くの地域では、「ミレニアル世代」の数が「ベビーブーム世代」の数を上回りました。しかし同時に、多くの国では80歳以上の年齢層が最も急速に増加しています。今はかつてないほどに、高年齢世代の政治的選好や消費パターンの後遺症が多くの場所で長期にわたって持続しています。

    研究によると、1人当たりの温室効果ガス(GHG)排出量は、超高齢者層(80歳以上)では減少していますが、60歳代半ばまでは徐々に増加し、70歳代後半になっても、30歳未満の1人当たりGHG排出量の平均値を上回っています。

    若年世代の数は多いかもしれませんが、その影響力については議論の余地があります。世界全体の若者(15~29歳)の13%は失業者です。この割合は、彼らの両親が同年齢だった頃よりも高く、現在の世界全体の高年齢世代の失業率の3倍です。米国やEUでは、若者の失業率が高年齢世代の失業率を上回っています(米国16%、EU24%)。

    さらに開発途上国では、仕事を持っている若者の60%が不安定な雇用に悩まされています。先進国や先進地域では、その割合はほんのわずかながら下がります。

    雇用が不安定で最低限の手当しか得られないため、就業している若者たちはより少ない報酬のためにより長時間働くことになります。つまり、彼らが政治活動に費やすことのできる時間と資源は、旧世代が同年代だった頃よりも(また、高年齢世代が現在費やしている時間と資源よりも)少ないということです。

    しかし、都市化、共同生活、共有経済へと向かう傾向によって、世界の若者は平均的に、より年配の世代に比べて1人当たりのGHG排出量が低くなっています。他方50歳以上の世代は、より高齢になっても炭素排出量の多い生活習慣を続けています。

    若者とともに高齢者を関与させる

    若者は低炭素型の生活習慣を学ばなければなりませんし、大人はそのような生活習慣に徐々に移行していかなければなりません。つまり、共通だが差異ある責任です。コンパクト化、スマートシティ計画、公共輸送を奨励する政策は、「前科のない」年齢層だけに的を絞るのではなく、行動を変えたり新しい技術の使い方を学んだりしたがらない、より年配の世代をも関与させる方法を見つけなければなりません。

    そのためには、いくらかの個人の犠牲が必要となるかもしれません。しかし、旧世代も現役世代も、大量の資源を動員して数多くの犠牲を払うことには長けているはずです。

    「エコノミスト」の最近の記事は、気候変動への取り組みなど、SDGsの実施には大きなコスト(世界のGDPの推定4%)が必要だと嘆いています。しかしその一方で、今年、世界のGDPの13%が世界中で起こっているさまざまな武力紛争に費やされているのです。確かに戦争は緊迫感を与えるかもしれませんが、この地球上で人口が増え続ける人間にとって、気候変動にともなう生活習慣と生計手段の崩壊も緊急課題となっていきます。また世界のあらゆる地域で平均余命が延びるにつれて、現在の高年齢世代もそうした事態を自分たちの目で見ることになる可能性が高まっています。

    こうしたことを踏まえると、子孫のためだけでなく、私たち自身のためにも、明らかに断固とした決意と自制心を持つ必要があるのです。

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