都市は持続可能な開発目標(SDGs)において中心的な役割を果たすべきである

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  • 2015年12月2日

    クリストファー・ドール

    The Global Goals

    この記事は、国連大学の「17日間で17の目標」シリーズの1つであり、国連の持続可能な開発サミットに対して補足する形でのリサーチおよび論評を特集しています。

    目標11: 都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

    都市に関するこの目標は、興味深くかつ重要です。なぜなら、世界的に合意されたターゲットの実施は最終的には各地域に委ねられますが、目標11は管理可能な規模で地域が限定された唯一の目標だからです。都市は他のすべてのSDGsにおいて縮図となるため、これは非常に重要な目標です。

    都市部地域を持続可能な開発へと向かう正しい軌道に乗せることができれば、実質的にすべてのSDGsの進展にプラスの影響がもたらされる可能性が高まります。現在、世界人口の半分強が都市部居住者として分類されており、その数は、今世紀半ばまでにさらに25億人増えて66%に達する見込みです。

    メガシティ(居住者が1,000万人を超える都市)の数は増えつつありますが、ほとんどの都市居住者はより小さなセカンダリーシティに住んでいます。人口増加のほとんどは、このセカンダリーシティで生じます。このことは、都市の建造物の多くがまだ建設されていないということを示唆しています(例えばある推定によれば、2030年のインドの70~80パーセントは未建設だということです)。多くの都市インフラの寿命が10年程度だということを考えると、今こそ、持続可能な都市の未来の基盤を築くために都市計画の方向性を正すまたとないチャンスなのです。

    よく言われるように、都会化が進んだ世界においては、都市は多くの地球規模の諸問題の根源であるとともに解決策でもあります。都市は土地を効率的に利用しますが、都市の境界をはるかに越えて広がるフットプリントも残します。

    持続可能な開発目標は、依然としてかなり縦割り的な構造になっているように思われますが、本シリーズの他の解説者の方々も指摘している通り、個々の目標の中にも足りない部分が数多く見受けられます。しかし都市という特殊な地域を通じて、私たちは複数の開発目標を結びつける新たな方法を理解することができます。都市部は人口が密集しているため、経済、エネルギー、環境、社会的結果の体系的な結びつきを間近で確認したうえで、一貫性があり相互に補強しあう都市開発政策につながる相乗効果(と妥協点)を見出すのに最適な場所なのです。

    例として、SDGs目標11の都市交通に関するターゲットを見てみましょう。都市交通は、大気汚染(およびそれにともなう健康アウトカム)の発生、ならびに労働者の効率的な移動による経済活動と、都市を通じた社会的交流の増加を同時に促します。効果的な公共輸送システムは、土地の消費を制限するコンパクトな都市(目標11のもう1つのターゲット)を可能にし、他方、想像力に富む都市設計と緑地の提供は、都市の生物多様性や人間の健康と福祉の諸要素にプラスの影響を及ぼすことができます。

    これに関連して、各目標内のターゲット間だけでなく目標間においてどのようなつながりや相乗効果があるのかということを理解するのに役立つのが、コベネフィット・アプローチです。UNU-IAS はさまざまな部門で、各政策の影響や地方および世界の汚染排出を迅速に示すことのできるツールを開発しました

    しかし都市の潜在力は、目標11に含まれるものをはるかに超えています。都市は大量の廃棄物を生み出すため、廃棄物エネルギーを生成することや、地方の発電のために都市のインフラを活用することも実現可能となりつつあります。持続可能な消費と生産に関するアジェンダ(目標12)の多くは都市の消費パターンによって決まり、これは海産種や(不正に取引される)希少種の消費とも結び付いています。

    このビジョンを実現するためには、2つの分野に留意する必要があります。

    第一に、都市の主要指標がどのように反応しているかを理解するために、あらゆる種類の都市データを体系的に収集し共有する必要があります。データは入手可能であるように思われますが、実際には都市の基礎的なデータセットですら、種類や収集・整理方法にばらつきがあり、問題の規模を理解するうえで障害となっています。しかし多くの都市サービスの自動化が進むにつれ、大量のデータアレイ(ビッグデータ)や、ソーシャルネットワークによって生み出されるデータが大幅に増えていくことが予想されます。

    第二に、都市ガバナンスの改善が必要です。私たちは、都市活動に固有の複雑さを認識し、都市ガバナンスの好循環(悪循環ではなく)を生み出さなければなりません。そうすることにより、都市開発のパターンを変えるようなソリューションが生まれ、結果として脆弱性と環境への影響を削減することができるのです。

    このビジョンの構成要素の1つは、都市システムのどこで主要なフィードバックが発生しているのかを理解し、これをさまざまなステークホルダーに伝達するのに役立つシステムズシンキング・アプローチでしょう。このようなプロセスでは、持続可能な開発にかかわる政策の効果的な設計と展開を理解し支援するため、学際的で分野横断的な知識を活用することが不可欠となります。

    都市に存在するつながりと、それがより広い世界に及ぼす影響(資源の利用と遠く離れた場所の生物多様性への影響など)をふまえた賢明な都市ガバナンスは、多くのSDGsの達成を促すカンフル剤となるでしょう。(すべてではないとしても)ほとんどの意思決定者が都市で暮らしていることからみても、都市はより幅広い持続可能な開発の達成において、まとめ役として中心的な役割を果たすことになるでしょう。

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