平等とエンパワーメントの問題

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  • 2015年11月4日

    クリスチャーナ・シグルビョルンスドッティル

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    Photo: UNAMID, Creative Commons BY-NC-ND 2.0

    この記事は、国連大学の「17日間で17の目標」シリーズの1つであり、国連の持続可能な開発サミットに対して補足する形でのリサーチおよび論評を特集しています。

    目標5: ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

    2015年は、国連加盟国が持続可能な開発に関する2030アジェンダに合意した年であるだけでなく、ジェンダーの平等や女性と女児のエンパワーメントのための行動に関しても特筆すべき年です。今年は、国際社会や国レベルにおけるこれらの問題に対する見方を変えるような画期的な出来事がたくさんあります。

    まず、北京宣言及び行動綱領の採択から今年で20年となります。189カ国がジェンダーの平等に向けて努力することを誓ったものの、当時は、10年以内にジェンダー平等は達成できると、かなり楽観視されていました。それから20年が経過した今、進展の明るい兆しは見られるものの、まだ多くの課題が残されています。

    依然として多くの国の法律に男女間の不平等が根付いていること、女性と女児の基本的人権が侵害されていること、世界中で賃金格差が残っていること、そしてジェンダーに基づく暴力がまん延していることが、数多くの研究で明らかとなっています。男女平等は、慢性的な地球規模の課題なのです。

    また、女性と平和と安全保障に関する国連安保理決議1325の採択から今年で15年となります。この決議は、紛争の防止と解決、平和交渉、平和構築、平和維持、人道対応、および紛争後の復興における女性の重要性を強調しています。しかし、これらすべての取り組みにおける女性の参加は、いまだ平等には程遠い状況です。

    その一方で、36年前に女性に対する差別を定義した女性のための人権法「女子に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約 」は、今もなお、 ジェンダー差別の撤廃に向けた国の行動計画において重要な役割を果たしています。

    しかし今後の取り組みの柱となるのは、2030アジェンダおよび、どれも等しく重要である17の持続可能な開発目標(SDGs)です。SDGsは、ミレニアム開発目標(MDGs)を引き継ぎ、今後15年間の開発優先課題を定めています。

    SDGsでは、女性と女児の権利が持続可能な開発の基本原則として認識されるよう、ジェンダーの平等が優先課題となっています。SDGsのさまざまな目標の中にジェンダーに配慮したターゲットが含まれているとともに、強力なジェンダー要素を特徴としたターゲットも数多くあり、ジェンダーの平等、女性の権利、女性のエンパワーメントに対する明白なコミットメントなくしては包括的で持続可能な開発は達成不可能だと主張する、国連の研究の成果を裏付けています。

    SDGsの目標5は、その前身であるMDGs目標3よりもはるかに包括的で、ジェンダーに固有のニーズ、リスクと脆弱性、役割と責任、勢力関係など、数多くの重要な側面を考慮しています。SDGs目標5は、女性に対する差別、暴力、有害な慣行に終止符を打ち、介護などの無償労働を認めて評価し、意思決定における参加とリーダーシップを促進し、性と生殖のヘルスケアとリプロダクティブライツへの普遍的アクセスを保証するためのさまざまなターゲットを掲げています。

    女性と女児の特有なニーズは、他のSDGsに関連したターゲットにおいても考慮されています。ジェンダーの視点から見ると、2030アジェンダは、女性のエンパワーメントが貧困や飢餓を撲滅し、健康を改善し、不平等と女性に対する暴力に取り組む方法を見出すための前提条件だということを、さまざまな形で強調しています。2030アジェンダには、ジェンダーの平等の実現を阻む法的障壁の排除に加えて、女性と女児の、暴力を受けることなく暮らす権利や、基本的人権を保護される権利が含まれています。

    承認後、各国がとるべき次のステップは、現実的であるとともに意欲的な2030アジェンダ実施計画を策定することです。SDGsに示されている数多くの不平等の根本原因に対処する具体的な国家政策が必要です。いかにしてアジェンダを実行するのか、またどのような政策や行動によって進展を後押しするのかが、最も重要です。

    すべての目標におけるジェンダーの平等の主流化、安定した資金調達、ゆるぎない政治的意思に基づく着実な実施なくしては、2030アジェンダは成功しないでしょう。ジェンダーの平等や女性と女児のエンパワーメントに十分な資源を配分することで、女性のニーズに応える開発計画を策定することが可能になります。したがって、ジェンダーギャップを縮小し、ジェンダーの主流化を実現し、各国の制度への支援を強化するために、明確な財源拡大が求められます。

    持続可能な開発に関する2030アジェンダによって、政策立案者は、開発のジェンダーにかかわる側面を無視しづらくなります。このアジェンダが、目標から政策、戦略、行動へと着実に進めば、2030年までに児童婚は恥ずべき過去の慣習となるでしょう。望まない妊娠をしたり、HIVに感染したりする女児の数は減少するでしょう。女児は学校に通い続け、生きていくうえで不可欠でありしばしば命を救うこともある、性と生殖の健康に関する情報やケアを受けられるようになるでしょう。女性は、同じ仕事をする男性と同額の給料を受け取るようになるでしょう。男性と男児、女性と女児は、暴力のない生活を送るチャンスを手に入れるでしょう。

    女性と男性の両方が完全かつ平等に参加しなければ、福祉・教育サービスと食料安全保障の確保や、平和と責任ある制度の構築など、持続可能な開発をめぐる課題への対処において真の永続的進展を遂げることはできません。したがって、持続可能な開発に関するアジェンダは、ジェンダーの問題に取り組むことによってはじめて達成可能となります。つまりジェンダーの平等は、持続可能性実現の前提条件なのです。

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    クリスチャーナ・シグルビョルンスドッティルによる『平等とエンパワーメントの問題』は、Creative Commons Attribution 3.0 United States Licenseの条件を採用しています。