2017年2月27日 東京
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は2月4日、日本国際湿地保全連合(WIJ)、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)とともに「2017年世界湿地の日記念シンポジウム」を開催しました。「湿地と防災・減災」をテーマに、生態系を基盤とした防災・減災(Eco-DRR)の国内外の動向や、国内での具体的な取り組み事例を紹介し、パネルディスカッションも行いました。
名執芳博WIJ会長の開会あいさつに続き、2人の専門家が基調講演を行いました。古田尚也大正大学教授・IUCN日本リエゾンオフィスコーディネーターは、Eco-DRRの国際的動向について紹介しました。吉田教授は、Eco-DRRという考え方は、増加する自然災害を契機に注目を集めており、国レベルでも政策に反映されていると説明しました。また、島谷幸宏九州大学教授が、日本でのEco-DRRについて講演しました。日本での取り組みの特徴は、Eco-DRRと地域の経済発展を同時に達成しようとしている点だと指摘する一方、定量的な評価方法が確立されておらず、従来の防災技術と比べて不確実性が高いことから、さらなる研究が必要だと強調しました。
さらに具体的な国内での取り組みについて、5人の専門家から発表がありました。UNU-IASの守分紀子コーディネーターは、里山・里海の存在は、生態系を守るだけでなく防災・減災を含む人々の生活向上と深く関係があると指摘しました。また、自然災害からの復興に際し、市民の意見を考慮する重要性についても話しました。
最後に、会場からの質問や意見に答える形でパネルディスカッションが行われました。自治体や各省庁といった組織の枠組みを超えた連携の方法、土地の所有権といった法制度から見たEco-DRRの課題、昔ながらの知識や知恵をEco-DRRに生かす重要性など、幅広い内容について話し合いました。