2014年10月15日 東京
このビデオでは、ロンドン大学キングス・カレッジの戦争学教授であり、最近まで同校の副学長を務めていたサー・ローレンス・フリードマン教授が、その著書であるStrategy: A History(戦略:歴史)をもとに、戦略の問題と妥当性について、デイビッド・マローン国連大学学長と議論します。
教授のこの著書の基本テーマは、野心を持って戦略を練り、多くの複雑な段階と多数の当事者を要するある程度遠い将来の目標を目指す者は、期待はずれの結果に終わることが多いというものです。フリードマン教授は、戦略とは解決したい問題をこそスタート地点に定め、そこから行動を起こすべきものであると述べています。
教授の主張によると、ビジネス・コンサルタント業や経営コンサルタント業により、戦略の商業化が行われてきたことが見て取れます。つまり、戦略が適用可能な定式を持つ商品として扱われてきたのです。こうした戦略も期待はずれに終わる傾向にあります。
むしろ、フリードマン教授は、いわゆる戦略の多くが実際には常識的判断と直感であると説明しています。ところが、綿密な立案プロセスのせいで、立案者は判断することを忘れてしまいがちになります。
フリードマン教授が強調するのは、問題の正しい分析を伴う代替的アプローチの必要性と、何らかの不調がある場合に早期にそれを特定できる順応性のある体系の構築です。それによって戦略に柔軟性がもたらされ、継続的に展開する状況に応じて修正を行うことが可能になります。
実際の状況に当てはめると、ウクライナの現在の紛争が、ベストプラクティス戦略から離れる必要性を示しています。フリードマン教授は、プーチン大統領の戦略がロシア経済にマイナス影響を及ぼしていることから、その戦略が筋の通らないものであることを指摘しています。それに対抗するため、西側諸国はウクライナがNATO加盟国でないことに関わらず、同国政府を支持する必要があります。したがって、戦略は固定的に定められたものではなく、その過程で生じる即時的な反応に合わせることのできる適応性を持つものでなければなりません。