マローン学長、世界の高等教育の課題と国連のあり方について語る

News
  • 2019年12月9日     横浜市

    デイビッド・M・マローン国連大学学長は10月19日、神奈川大学に新設される「国際日本学部」の開設記念講演会にて基調講演を行いました。「世界、日本、地域の架け橋に ~国際人を目指す君たちへ~」と題する本講演会で、マローン学長は国際競争力が激化する高等教育市場において、大学が優れたビジネスモデルと戦略を備えることの重要性を強調しました。

    また基調講演に続き、元国連日本政府代表部常駐代表である西田恒夫氏とマローン学長との対談が行われ、「国際人に求められること」をテーマに議論を行いました。

    マローン学長は冒頭、各国が直面している高等教育の質と財政負担に関する課題を指摘。近年、米国と英国では大学の授業料の大幅な値上げが問題視されている中、国民に対する大学教育を原則無償にしているフランスでは、政府からの資金提供の不足により教育機関は高い質を維持することが難しくなっている問題について触れました。

    また、日本には1億2,600万人の人口に対し全国に800校近くの大学がある一方、マローン学長の母国であるカナダでは、3,700万人の人口に対し約90校であることを例に挙げ、「どの国も自国の教育をより良くするためにはどうしたらいいのか、常に問わなければなりません。大学は、各国の国際競争力がどれだけ高まっているのかを反映する存在でもあるのです」と話しました。

    国連事務次長を兼任するマローン学長は、国連が直面している最も喫緊な課題についても指摘し、その一つとして気候変動を挙げました。

    台風や干ばつ、山火事から熱波まで、世界中の人々や都市は異常気象の影響を受けています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年の報告書で指摘したとおり、地球温暖化を産業革命前との比較で1.5˚C以下に抑えられる期間は、あと12年しかなく、それができなければ破滅的な結末が待っているとされています。

    世界のリーダーにその行動の責任を問うため立ち上がった16歳の環境活動家、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんは9月に国連気候行動サミットで演説し、各国首脳の無策と「空虚な言葉」が若者から将来を奪ったとして、厳しく非難しました。

    マローン学長はこれに対し「国連の会議で珍しく衝撃が走った瞬間」だったとして、トゥーンベリさんの言動を称賛し、その発言は真実であると述べました。「国連では課題が山積しています。私たちは多くの批判にさらされていますが、トゥーンベリさんのケースのように、その批判にはしばしば十分な根拠があります。国連はこうした批判を真摯に受け止め、常に改善を目指してゆく必要があります」