国連大学、国連気候サミット2014でセッションを主催

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  • 2014年10月14日     New York

    UN Climate Summit 2014: The Economic Case for Climate Action

    Photo: Janine Kandel/UNU

    国連大学は、国連事務総長の主催により9月23日にニューヨークで開催された国連気候サミット2014の一環として、「The Economic Case for Climate Action(気候変動に対する具体的行動を取るための経済的理由)」と題したテーマ別セッションを主催しました。このセッションは、国連大学政策研究センターが国連大学環境・人間の安全保障研究所と国連大学ニューヨーク事務所と共催し、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(トルコ)とハイレマリアム・デサレン首相(エチオピア)が共同議長を務め、アンヘル・グリア経済協力開発機構事務総長が司会を務めました。また、パネリストとして、フェリペ・カルデロン委員長(経済と気候に関するグローバル委員会)、ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)、リーナ・スリバスタバ教授(ニューデリーのエネルギー資源研究所)、徐晋涛教授(北京大学)が招かれました。気候変動をめぐる議論で著名な数名の方々を含め、政府、市民社会、学会のハイレベル代表者が約200人参加しました。

    セッションで行われた議論で注目すべき点には、次のようなものがあります。エルドアン大統領が、2015年のうちに気候変動合意を締結して地球温暖化を2℃以内に抑えるという目標を実現する必要性を非常に強く支持したこと、ハイレマリアム首相が、気候変動によってエチオピアの穀物生産が壊滅的影響を受けるという内容の警告を発したこと、カルデロン委員長が、「New Climate Economy Report(ニュー・クライメイト・エコノミー報告書)」の重要な研究成果を発表したこと、サックス教授が気候変動に対する具体的行動を強く要請し、そうした行動を実践していないとして米国を始めとする諸政府を厳しく批判したこと、スリバスタバ教授と徐教授が、気候変動との闘いにおいてインドと中国が直面している具体的な課題と機会について見解を述べたことなどです。

    地球温暖化に対処しなければ、世界の発展にとって破壊的な影響がもたらされるであろう点については、すべてのパネリストの意見が一致しましたが、対照的な見解も明らかになりました。カルデロン委員長は、再生可能エネルギーの価格低下と急速な技術革新のおかげで、市場原理により気候変動に対する行動が加速するだろうと述べましたが、サックス教授は、必要な移行を引き起こすには費用がかかり、新しい技術と積極的な規制措置には政府による先例のない巨額の公共投資が必要であることに注意を促しました。ほかにも炭素価格の問題をめぐる争点も浮かび上がりました。大半のパネリストが化石燃料補助金改革を強く支持したのに対し(カルデロン委員長は「補助金は中産階級のプール代になっています」と述べました)、スリバスタバ教授は、補助金は貧困層が化石燃料を利用できるようにするために不可欠であり、インドの二酸化炭素排出量が増大しても、インドの発展の道筋を考慮して容認する必要があると主張しました。一方、徐教授は、中国による気候変動への取り組みの中でしばしば見過ごされがちな側面の重要性を強調しました。そのなかにはエネルギー産業の独占を解くための汚職防止措置がありますが、農村レベルの取り組み(土地と森林の所有制度改革)や地方レベルの取り組み(地方炭素税)は、中央政府の統制の外で行われていると考えられます。