国連大学が南アフリカ議長下でのG20に関するハイレベル・シンポジウムを共催

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  • 2025年3月19日

    2025年3月18日、国連大学は駐日南アフリカ共和国大使館とともに、シンポジウム「南アフリカ議長下でのG20:連帯、平等、持続可能性〜日本との対話〜」を共催しました。

    イベント冒頭、チリツィ・マルワラ国連大学学長(国連事務次長)は、深刻化するグローバル課題を強調し、「これらの問題は抽象的なものではなく、国際協力、経済の安定、そして全ての人々の幸福に直接的な影響を及ぼすものです」と述べました。

    「脅威に対処するためには、解決策を形成する際に全ての声、特にグローバル・サウスの声が取り入れられるような多国間ガバナンスのアプローチが必要です。南アフリカ議長下のG20における主題は、このような責務に直接取り組むだけでなく、国連の使命と、ここ国連大学での私たちの活動の両方を捉えています」

    続けて、英利アルフィヤ 外務大臣政務官も参加者を歓迎し、今年が日本と南アフリカの交流115周年にあたることについて触れました。長年のパートナーシップが経済発展、ビジネス、スポーツ、青少年交流に恩恵をもたらしてきた数多くの例を挙げながら、知識と技術的専門知識を結集し、複合的なグローバル課題を克服するために、「日本と南アフリカの協力がこれまで以上に重要となっています」と強調しました。

    英利政務官はまた、今年の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)と、「TICAD9での成果をG20ヨハネスブルグ・サミットの成功に繋げたい」という日本のコミットメントについても言及しました。

    アナ・モラカ 南アフリカ国際関係・協力副大臣は、イベントの基調講演者である南アフリカ共和国のポール・マシャティル副大統領を紹介しました。また、イベント参加者と主催者に「このシンポジウムに参加できて本当に光栄です」と感謝の意を表しました。

    マシャティル副大統領は基調講演の冒頭で、南アフリカと日本の1世紀以上にわたる協力関係や外交関係への深い感謝の意を伝えました。

    「こうした二国間関係は、貿易や投資、科学技術、そして教育や技能開発援助といった分野で、特に成功してきました。双方の国民は多くの共通点を有し、それゆえこれからも人と人との文化交流プログラムに投資していく所存です」

    副大統領はまた、「特に、両国と国際社会が直面している現在の地政学的課題に鑑みれば」今こそこのパートナーシップを強化すべき時であると強調し、「包摂的な経済発展を促進し、両国間の貿易のバランスと増加を確保することに特に重点を置きながら、二国間で協力していくことを私たちは望んでいます」と述べました。

    続けて副大統領は、南アフリカのG20議長就任と、「世界情勢の地殻変動」によって向き合わなければならない課題に重点を置きました。災害へのレジリエンス(強靭性)と対応の強化、途上国経済の債務における持続可能性の確保、公正なエネルギー転換のための資金動員、包摂的成長と持続可能な開発のための重要鉱物の活用といった、G20での4つの優先課題について説明しました。

    副大統領は、人工知能とデジタル経済が持つ変革の可能性を活用しつつ、「この広大な領域を知恵と思いやりと責任をもって切り開き、誰一人取り残さないようにする」ように呼びかけました。

    副大統領は協調を訴える言葉で講演を締めくくりました。「Ubuntuの基本理念、つまり『あなたがいるから私がいる』という深い信念によって、私たちは人間の相互のつながりを再認識することができます。G20議長国としての南アフリカのリーダーシップとビジョンを支えているのは、このUbuntuの理念なのです」

    続いてパネルセッションに移り、マルワラ学長がモデレーターを務め、南アフリカのゲイトン・マッケンジー スポーツ・芸術・文化大臣ノブフレ・ンカバネ高等教育大臣ジョン・スティーンヘイゼン農業大臣パークス・タウ貿易・産業・競争大臣という4名の閣僚がパネリストとして登壇しました。

    パネリストは、G20における南アフリカの主要な経済目標、南アフリカが教育と技能開発をどのようにG20アジェンダに統合しているか、国際協力における文化交流とスポーツ外交の力、持続可能な開発のための2030アジェンダの進展を加速させるために日本と南アフリカがどのように協力できるかなど、幅広い課題について議論しました。

    その後、オーディエンスとの質疑応答を行いました。重要な鉱物や天然資源の採掘をめぐる紛争構造に南アフリカがどのように対処しているのか、また、資金調達の優先順位が世界的に変化する中、南アフリカはエネルギー転換のための資金調達をどのように拡大する計画なのか、といったトピックについて質問がありました。

    最後に、在日南アフリカ共和国大使館のアナリーズ・シュローダー臨時代理大使が閉会の挨拶および謝辞を述べました。シュローダー臨時代理大使は、副大統領、国連大学、日本政府、登壇者、参加者、そしてこのイベントの実現に寄与した全ての人々に感謝の意を表しました。

    また、アフリカ連合がG20常任メンバーとして初めてTICADに参加するこの年に、このイベントが、G20議長国としての南アフリカの目標と、TICADにおける日本の目標との共通項に光を当てたことにシュローダー臨時代理大使は触れました。

    イベント後にネットワーキング・レセプションが開催され、南アフリカ関連の軽食が提供されました。