国連大学のイベントで人権擁護のための武力行使に注目

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  • 2013年11月15日     東京

    後述のイベントの前に撮影されたビデオ映像の中で、マッツ・バーダル教授が人権擁護のための武力行使について、国連大学学長室ジュニアフェローからのインタビューに答えました。

    2013年11月1日、国連大学本部での公開討論で、マッツ・バーダル教授とデイビッド・マローン国連大学学長が、人道目的のための軍事力行使の増加の背景にある規範的・地政学的要因を探りました。このイベントの論題は、「サラエボからベンガジまで:冷戦後の時代における人権擁護のための武力行使」です。

    1990年代のバルカン半島情勢から現在のシリア情勢に至るまで、人道目的のための武力行使の増加は、これまでになく大きな国際関係の変化、すなわちより国家中心的で伝統的な主権の概念よりも、人権と正義に関する国連憲章条項が重視されるようになったことに関係があると広く考えられています。しかし、人道目的のために実際に武力を行使すること、あるいは武力行使を示唆して脅すことに対しても、依然として大きな異論があります。

    内戦や武力紛争における暴力の原因は、貪欲と不満の両方に関係していると考えられます。紛争は経済的利益を求めた結果起こる場合もありますが、宗教やエスニシティ、社会階級にかかわる問題から激化することもあります。武力紛争の動機は、戦いに勝利することではなく、政情不安を作り出して、平時なら犯罪とみなされるであろう行為に正当性を与えることである場合もあります。

    こうした暴力の継続に作用する動機が明白に物語るのは、貪欲と不満の相互作用を理解する重要性です。この相互作用はどちらか一方ではなく、両方同時に対処しなければならない問題なのです。

    内戦の状況は決して不変ではありません。たとえば現在のシリア情勢の場合、軍事介入が非常に困難なのは、複雑な現地情勢、つまり政治的利益と経済的利益が絡み合うことで状況が徐々に変化してきたことが原因であるとバーダル教授は述べています。有効な介入を行うには、政治的利益について背景を十二分に理解する必要があります。

    死者数500万人といわれるコンゴ民主共和国の紛争は、もうひとつの説得力のある悲劇的な例です。文民の保護は、首尾一貫した政治的戦略を展開する必要性と切り離して考えることはできません――しかし、そもそも軍事介入が目指す最終的な政治目標、すなわち「最終状態」とはどのようなものなのでしょうか。バーダル教授が強調したのは、軍事力にできることと成し遂げられることを区別する重要性でした。

    このイベントの最後には、講演者と参加者の間で非常に有意義な意見交換が行われました。人道介入は新しい時代に入りつつあるのか、またどのように改善することができるのかということ、そして政権交代による内戦終結の妥当性と武力紛争における民主主義の役割について、質問が出ました。

    後者の質問に対して、バーダル教授は、民主化のプロセスそのものが紛争の原因になりうることを指摘しました。「民主主義への道はときとして暴力的なものになり、その定義も人によって異なる意味を持ちうるのです。それは内戦の原因を調査し、解決策を提案する際に、理解すべき重要な点です」と教授は説明しました。

    このイベントの後のレセプションでは、参加者はバーダル教授に直接質問したり、参加者同士で交流したりしました。

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    この講演で議論された問題についての詳細は、この記事のトップにあるバーダル教授のビデオインタビューをご覧ください。