2025年4月28日 東京
国連大学地域統合比較研究所(UNU-CRIS)が、アメリカの関税政策に関するポリシーブリーフ「 The Real Cost of a Trade War: Examining the Fallout of US Tariffs(貿易戦争の真の代償:アメリカの関税が招いた経済への影響)」を発表しました。
【概要】
前回の貿易戦争は、アメリカのドナルド・トランプ大統領にとってあらゆる面で失敗に終わりました。貿易赤字は解消されず、トランプ政権の政策は結果的に多くのアメリカ人の雇用を奪うことになりました。今後、隣接する国々との間で、さらに大規模な貿易戦争が起これば、その影響は前回と同等、あるいはそれ以上に深刻になると見られています。特に、アメリカ市場の規模を踏まえると、関税によって対象国が大きな打撃を受けるのは避けられません。
報復関税という対応は、理解の余地はあるかもしれませんが、こうした措置はこの貿易戦争に関わるすべての関係者にとって、損失をさらに拡大させる原因にもなり得ると指摘されています。事実、今回の貿易戦争は、CUSMA(カナダ・アメリカ・メキシコ協定)にも悪影響を及ぼし、地域全体の経済にリスクをもたらしています。
また、関税によって貿易赤字の改善やドル高が進む可能性は低く、むしろインフレの悪化やアメリカ製造業の競争力低下といった問題がより深刻になる恐れがあります。加えて、製造業の国内回帰(リショアリング)にも支障が出ており、分析によると、今回の貿易戦争が一般のアメリカ人労働者にとって利益になる可能性はほとんどないことが指摘されています。
貿易戦争は、経済的にも政治的にも常に苦しみを伴います。今回の分析は、こうした関税がアメリカ国民にとってこうした苦痛をもたらす結果となることを示しており、貿易戦争の影響が今後さらに深刻化する可能性を示唆しています。
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