2022年1月21日 ボン
ドイツ、ボン- サステイナブル・サイクル(SCYCLE)プログラムは、10年以上前に国連大学(UNU)で始まってから、電気電子機器廃棄物(e-waste)の管理戦略に関する研究と訓練の世界的リーダーへと成長を遂げてきました。UNU内外におけるSCYCLEプログラムの前身を30年近く前まで遡った新しい報告書『SCYCLE’s Origins and Milestones, 1994–2021』は、27年にわたる刺激的な研究や訓練、政策効果の過程について概説するものです。
この報告書の公表は、国連訓練調査研究所(UNITAR)とUNUが2019年に署名した合意に従い、SCYCLEプログラムがUNITARに移行したことを記念するものでもあります。2022年1月現在、このプログラムはUNITARボン事務所が主催するUNITARのDivision for Planetの一部門として運営されています。
SCYCLEプログラムの多大な成功は、その協調的なアプローチに育まれてきました。解決志向型の対話、協力、合意を促進することで、SCYCLEは以下を実現しています。
UNITARにおけるSCYCLEプログラムは、Electrical Electronic Equipment (電気・電子機器(EEE))や、電池、自動車、プラスチックなどの関連製品の持続可能な生産・消費・廃棄パターンの開発に引き続き重点を置いていきます。このプログラムは、社会がEEEの生産・廃棄に伴う環境負荷を低減できるよう、研究と訓練を通じて引き続き支援していきます。
SCYCLEプログラムの前は、UNUが持続可能な経済成長と環境保全の両方に貢献できる廃棄物の付加価値利用について研究するため、東京を拠点とするイニシアチブを立ち上げた1994年にさかのぼります。5年後の1999年、このイニシアチブは国連大学ゼロ・エミッション・フォーラム(UNU-ZEF)として正式に組織され、日本に事務局、ドイツにも国際事務局が置かれました。2009年には、ゼロエミッションのコンセプトが世界中の産業界や政府によって採用されるという主要目標を達成した後、UNU-ZEFの活動を終了しました。
2007年から2018年にかけて、国連大学とSCYCLEプログラムは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)やゼロエミッションといった持続可能性に向けた戦略的アプローチを支援する、独立したマルチステークホルダー型のプラットフォームである「E-Waste問題解決(StEP)イニシアチブ」を主導しました。StEPイニシアチブは、急速に増加するe-wasteの課題に優先的に取り組むよう、政府、企業、研究者、市民社会に働きかける世界的な先駆者となりました。
現在、SCYCLEは、e-wasteに関する世界的な議論と訓練、また、ライフサイクルと循環論法に基づく持続可能なe-waste管理戦略の推進におけるリーダーとして認知されています。SCYCLEのE-waste Academiesは、政府、企業、科学の代表者が参加する研修の場となり、世界的な協力体制の強化に貢献しています。SCYCLEのE-waste Academiesは、政府、企業、科学の代表者が参加する研修の場となり、世界的な協力体制の強化に貢献しています。E-wasteに関する世界的な執筆、コメント、キャンペーン活動は、SCYCLEのデータや専門知識を取り入れています。SCYCLEの環境および廃棄物犯罪への取り組みは、国境を越えた廃棄物輸送問題を持続的に解決するためのさらなる研究にも役立っています。
国連大学学長を務めるデビッド・マローン国連事務次長は、SCYCLEのUNITARへの移行を祝して次のように述べています。
「UNUは、有望な新しいアイデアとプロセスの事業化に重点を置いています。後者の成熟に伴い、それらが他のホームプラットフォームへ移行し、異なる制度的背景から恩恵を受けることを、私たちの機関はうれしく思っています。これは先の多くのUNUプログラムで上手く機能しており、このような関係性は、UNUが居心地の良い場所に落ち着くのではなく、内部の革新を促し続けるための刺激にもなっているのです。」
「私たちは、SCYCLEがこれほどまで成功し、世界的な影響力を持つまでに成長したことを誇りに思います。私たちが緊密に協力している国連の姉妹機関であるUNITARにおいて、今後何年にもわたって発展していくことを確信しています。」
SCYCLEプログラムの最新報告書『SCYCLE’s Origins and Milestones, 1994–2021』は次のURLよりダウンロードできます(英語版)https://bit.ly/3qz8TnV
SCYCLEの長年にわたる代表的な出版物には、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた国際的な取り組みにe-wasteの課題をどのように適応させるかを説明する3つの『Global E-waste Monitor(世界のE-wasteモニター)』(2014、2017、2020)、世界の特定地域におけるe-wasteの状況をより詳細に分析する一連の『Regional E-waste Monitor(地域別E-wasteモニター)』、特定の国々におけるe-wasteの状況について高いレベルの詳細を提供する多数の『National E-waste Monitor(国別E-wasteモニター)』が含まれています。一方、分類報告や指標に関するSCYCLEの『E-waste Statistics Guidelines(E-waste統計ガイドライン)』は、各国間のデータの比較可能性を向上させるのに役立っています。
過去の出版物の詳細についてはSCYCLEのウェブサイト(英語版)をご覧ください。