国際サステイナビリティ学会が正式に発足

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  • 2012年3月8日     東京

    2012年2月21日から23日にかけて、アリゾナ州テンペにおいて第3回サステイナビリティ学国際会議(ICSS)が開かれました。本会議は、科学のあり方におけるサステイナビリティの模索を目的として、最先端のサステイナビリティ学の実践例とその評価の枠組みについて、議論が交わされました。

    会議の初日、武内和彦国連大学副学長は、東日本大震災からの復興におけるサステイナビリティ学の役割をテーマに講演を行い、次の点について述べました。

    • 震災復興と東日本の社会的回復力の構築におけるサステイナビリティ学の課題
    • 被災地復旧のための新たな関係者、資本を巻き込む方法の模索
    • 復興活動を阻む可能性のある制約事項
    • 持続可能な復興に取り組む被災地の支援ツールの検証
    • 復興活動から発生する経済活動と社会システム

    3日間に渡って開催された本会議では、サステイナビリティ学の分野における最先端の成果や課題に重点が置かれ、主な成功事例が紹介されました。その中で取り上げられたアフリカのCOMPETEプロジェクトでは、アフリカ農村地域のエネルギー源確保、生活の質や生計の維持といった問題に対し、バイオ燃料によって解決策を見い出そうと取り組んでいる内容が紹介されました。その他サンフランシスコの予防的購入方針についての事例では、有害成分を含んだ製品の購入を控え、環境的に望ましい代替製品の利用を推進する枠組みが法的に機能していることが紹介されました。

    また最終日には、武内副学長がリードする形で、サステイナビリティ学の実践家や専門家の国際的なメンバーで構成された国際サステイナビリティ学会(International Society for Sustainability Science (ISSS))が正式に発足しました。国際サステイナビリティ学会は、学際的な領域にまたがるサステイナビリティ分野での国際的な知識共有の枠組みとして、従来の細分化した学術分野の垣根を取払い、21世紀型の課題解決を模索することを目指します。

    国際サステイナビリティ学会の発足式において武内副学長は、次世代のリーダー育成の重要性について述べました。とくにサステイナビリティ学をグローバルに推進する能力を備えた人材が、アカデミア、産業界、政府、また一般社会に不可欠である旨が強調されました。

    国際サステイナビリティ学会は、東京大学を運営事務局として、サステイナビリティ学教育で先進的役割を果たしてきた協力大学が運営事務局を構成します。これまで協力大学によって学会発足に向けた取り組みが行われ、今回3回目の会議での成果となります。そこではアリゾナ州立大学(アメリカ)、サピエンツア・ローマ大学(イタリア)、東京大学、そして国連大学の4校が、サステイナビリティ学の長期的な発展の推進を担います。

    武内副学長の記念講演の後、参加者からはさまざまな提言が寄せられました。そこでは新たな国際学会の支援だけではなく、サステイナビリティ関連プログラムの強化に向けた、多様な学術分野の統合と連携への取り組みの約束が交わされました。