2022年3月3日
国連大学の白波瀬佐和子上級副学長は、2月14日に開催された「第8回 SDGs ユニバーシティ講演会、ジェンダー・ダイバーシティから見るSDGs~未来社会の構築に向けて~」で講演を行いました。社会学の観点から、日本において長期にわたって継続するジェンダー格差の背景に何があるのか、次の世代のために日本は多様であることを承認する社会を作ることがいかに重要であるかについて、話しました。
白波瀬上級副学長は、世界的な問題解決にあたってのパラドックス(Global problem-solving paradox)に触れ、「私たちは問題を解決するために同じ道を進んでいるのか」という疑問について語りました。 人類のウェルビーイングを保障するためには、社会のあらゆるレベルで共通の課題を議論し、解決していく必要があると述べました。
世界経済フォーラム ジェンダーギャップ指数によると、日本は常に低い順位です。しかし、白波瀬上級副学長は、日本における格差の大きさは特徴的ですが、ここでの問題は世界に共通するものであることを強調していました。日本女性は低賃金パートに大きく偏っていること。さらに、日本における女性管理職割合は極めて低いというデータも紹介しました。
また、大卒等の高等教育を受けても、就労率のジェンダー格差が他先進国に比べて大きいデータを提示して、優秀な人材を無駄にしているのではないかと懸念が示されました。
講演会後に行われたアフタートークセッションでは白波瀬上級副学長と笹谷秀光SDGsユニバーシティ校長は講演の内容をもとにさらに議論を進めました。、日本に改善と変化をもたらすために、まずいま指導的な立場にある管理的立場にある者から、働き方を変え、ポリシーを見直すことが重要であると訴えました。具体的には、会社などで教育、働き方改革、意識改革を常に認識することを提案し、新しいビジネス環境を作り、想像力を働かせて、女性のための新しいタイプの仕事とポジションを導入する必要があり多様であることの必要性について説明しました。また、相違と格差の価値と評価を認識することを強調しました。そのためには、多様性は単なる違いではないこと、包摂的であることはマイノリティーの存在に目配せすることだと述べました。そして、様々な背景や状況にある人たちにとっての公平な機会が提供されていることの重要さが強調されました。
白波瀬上級副学長は多様性と包摂的な社会を作ることについて、次のように述べ、イベントを締めくくりました。
「斬新なアイデア、実⾏⼒を歓迎し、⽀援の体制を作ること。そして、次世代への発展的持続可能な社会を構築するために、多様であることは包摂性を高める上に不可欠であるのです。」
本イベントは、SDGs 研究所と共催しました。SDGs研究所は、事業を通じて社会を健全・健康にする「ソーシャル・ウエルネス」を実現させる協同研究機関です。SDGs ユニバーシティ講演会は、研究所の1つのプロジェクトとして2020年に始まり、青山学院大学、国連大学と共同で実践的なSDGsの取り組みを紹介し、学びの場を提供しています。