マローン学長、多様性とインクルージョンに関するイベントに登壇

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  • 2021年11月26日

    国連大学のデイビッド・マローン学長は、11月2日に開催された「Diversity & Inclusion の一歩先。多様性をEnjoy & Learn」で基調講演を行い、自身のマイノリティ性について触れた上で多様性を尊重する社会を作る重要性について話しました。

    本イベントは、三菱地所、日本経済新聞社、農林中央金庫などから構成されている「大丸有SDGs ACT5」実行委員会が主催し、大手町・丸の内・有楽町地区を起点にSDGs達成に向けた活動を推進することを目的としています。

    マローン学長は、自身が性的マイノリティであることに触れ、母国カナダで駆け出しの外交官時代はその事実を隠し通さなければいけなかったことを話しました。カナダ外務省に入省する際、自分が同性愛者かどうかという質問項目があり、そこをチェックしてしまうと外交官になれないと確信していた、と当時について振り返りました。

    「その後カナダでは、性的マイノリティに対する差別を禁止する法律が制定されました。これがきっかけで、幅広い意味での差別が非難の対象になり、私個人にとってのみならず、カナダという国にとっても非常に意義のある動きでした」

    また、マローン学長は、国連システム内において性的マイノリティに対する差別を禁止する動きなどを潘基文前国連事務総長が主導したことを紹介しました。2014年に潘前国連事務総長は、国連全職員に対して国籍問わず同性婚を認めたと表明しています。

    「私は同性婚・パートナーシップを認めた国連を大変誇りに思っています。潘前事務総長は、性的マイノリティへの差別を含むあらゆる差別を撤廃することが、道徳的に正しいという思いで一生懸命取り組んでいました」

    さらに、真の多様性を目指すためには、企業や政治において、より多くの女性が活躍する重要性についてもマローン学長は指摘しました。10月31日に行われた日本での衆議院総選挙で、当選した女性の数が全体の10%であり、カナダでも議員の30%が女性であることを紹介し、今後さらに増えることへの期待を次のように述べました。

    「真のダイバーシティーを目指すためには、政治から始まると思います。将来はカナダでも、日本でももっと女性議員が増えると思います。才能ある人たちを排除すると経済や政策は行き詰まるため、世界中でジェンダーを含めた包摂的な政治が非常に重要です」