ProSPER.Netフォーラム、高等教育におけるサステイナビリティの現状について議論

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  • 2014年9月4日     東京

    2014年7月10日、「国連持続可能な開発(ESD)のための教育の10年」(DESD)の終了を記念する一連の世界的イベントの一環として、年一回の高等教育におけるサステイナビリティに関するProSPER.Netフォーラムが東京で開催されました。

    アジア環境大学院ネットワーク(ProSPER.Net)は、高等教育にサステイナビリティ(持続可能性)を組み込むことを目指す国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)のイニシアチブです。

    法政大学が主催するこのフォーラムでは、アジアのいくつかの国々から講演者を招き、アジア内およびそれ以外の地域における高等教育とサステイナビリティの現状について話し合いました。持続可能な開発のための教育の学際的側面や、政策立案・実施へのステークホルダーの関与といったテーマについて議論が行われました。

    環境省顧問の谷津龍太郎博士が、サステイナビリティにおける科学と政策との関連性について基調講演を行い、最新の科学的知識に基づいて政策を策定・実施することの必要性を強調しました。

    その後パネルディスカッションが行われ、UNU-IAS所長の竹本和彦博士が、DESD終了後のフレームワークとして、ユネスコが推進する持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)を紹介しました。

    パネリストのシバナッパン・クマー教授(アジア工科大学院)、ワン・シン教授(同済大学)、およびマリオ・タブカノン教授(UNU-IAS )は、DESDは多くの成果を上げたものの、大多数の高等教育機関はESD実施までにまだ長い道のりがあると主張しました。こうした状況のなかでより多くの高等教育機関の関与を促すためには、GAPを実施すること、またGAPにおいて政策の促進、学習・訓練環境の変革、教育者や指導者の能力構築、若者のエンパワーメントと動員、地方レベルでの持続可能なソリューションの加速に重点を置くことがきわめて重要です。

    パネリストたちは、能力育成や教育・研究を進めるうえで高等教育が果たす役割に留意し、共通の問題に取り組むために、さまざまな経歴を持つ資質のある専門家が協力し合うことの必要性を強調しました。また、世界的議題を地域的行動へと転換するためだけでなく、社会の真の需要が反映されるよう高等教育の大きな変革を促すためにも、さまざまなステークホルダーが地域のイニシアチブに参加することが重要だとの言及がありました。

    ProSPER.Net フォーラムで始まった議論は、世界の教育部門がDESDの終了を迎え、いくつかの重要なESDイベントが行われる11月に継続されることとなります。

    そのなかでも最も重要なイベントが、 ESDに関する世界会議、および持続可能な開発のための高等教育に関する国際会議:2014年以降の高等教育のあり方(愛知県名古屋市で開催)と、第9回ESD地域拠点世界会議(岡山県で開催)です。UNU-IASは、ProSPER.Netなどのイニシアチブを通じて、これらのイベントやより広範な政策論議に積極的に貢献しています。

    第2回高等教育におけるサステイナビリティに関するProSPER.Netフォーラムの詳細な報告については、ProSPER.Netのウェブサイトをご覧ください。