パリのシンポジウム、サステイナビリティ学における協力を促進

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  • 2013年11月5日     Paris

    国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)そしてユネスコの共催により、2013年9月19日に国際シンポジウム「サステイナビリティ・サイエンス:統合と連携の推進に向けて」が開催されました。

    ユネスコパリ本部において開催された同シンポジウムには、主要諸機関とユネスコ加盟各国の代表者、さらに専門家と政策立案者が一同に会し、社会科学・自然科学の知見を政策、戦略、計画立案に活かすためのツールや方法論、信頼性の高い基盤の提供を可能にする、解決指向型の学際的学問であるサステイナビリティ学の最先端状況について意見を交換しました。

    (シンポジウムのプログラムおよび下記参加者の経歴については、UNU-ISPウェブサイトのUNU/IR3S/UNESCO 共催シンポジウム(英語)をご覧ください。)

    開会式では複数の講演者からサステイナビリティ学の最新状況が紹介され、とくに、Future Earthイニシアチブ、ユネスコの水科学、海洋学、生態学および社会科学、人間科学分野のプログラムが取り上げられました。

    これに続いて、モハメド・ハッサン教授(グリーン技術基盤への投資増大、そして革新的で問題解決能力のある十分な数のサステイナビリティ学研究者を育成するための制度的・教育的基盤の向上、という2つの相互に関連する問題に取り組むことを目的とした今後の持続可能性戦略について講演)、宇佐美誠教授(学問分野の幅広い統合に加えて基本的知識に関する調査研究の必要性を強調)、カール・フォルケ教授(人類があらたな生物圏に見出しうる機会と課題について語るとともに、継続性、適応性、転換可能性につながる知識創出とレジリエンス思考(resilience thinking)の重要性を指摘)、シャンカー・サストリー教授(低効率高炭素から高効率低炭素へのエネルギーシステム転換を可能にする多面的で協調的な国際的アプローチの差し迫った必要性を指摘)による基調講演が行われました。

    基調講演に引き続き、トーマス・ラブジョイ博士を議長として「相互に関連するグローバル課題への対応とサステイナビリティ学に対する需要」というテーマでパネルディスカッションが持たれました。パブロ・ジェンティーリ博士(創造的で革新的な公共政策立案、さらに社会全体の幸福につながる開発と社会正義の両立および人権と平等の実現において、社会科学が果たしうる役割について指摘)、ルッツ・メラー博士(生物圏保護区のリサーチとモニタリングについて共創(co-design and co-production)を目指した再定義を唱えるドイツの考え方について紹介)、ルディ・ヘルマン博士(革新的な能力開発、政府間協力、知識移転の強化とネットワーク構築推進の必要性に関して、海洋科学と海洋情報サービスという観点での自らの考え方をついて紹介)、 武内和彦教授(過去5年間におけるサステイナビリティ学を取り巻く状況の変化と、途上国における知識革新の促進のための取組について紹介)が、パネリストとして参加しました。

    そして、アナンサ・クマール・ドゥライアパ博士(包括的な豊かさというテーマについて講演)とリディア・ブリト博士(科学と政策を効果的に結びつける仕組みについて提言)による講演で、前半セッションが締めくくられました。

    シンポジウムの後半セッションでは、竹本和彦教授を司会者として「部門・分野毎の活動を統合するための制度的課題と機会」というテーマでパネルディスカッションが開催されました。アレクサンダー・ライヒト博士(学際的なマルチステークホルダー・アプローチを通じて知識の細分化を防止することで、サステイナビリティ学と持続可能な開発のための教育がいかに相互に強化されることになるかについて解説)、フランチェスカ・ファリオーリ博士(ネットワークと共同行動を強化し、社会の変容につながる変革を生みだすためのアイデアについて紹介)、デス・ギャスパー教授(ビデオリンク方式で参加。知識を「応答可能な」ものとするために責任ある科学という考え方を提唱するとともに、実世界における教育と認識論的リテラシーの必要性について指摘)、北村友人博士(持続可能な開発を目的とした、アジアにおける高等教育充実のための国際協力の重要性を指摘)が、パネリストとして参加しました。

    シンポジウムは、武内教授の閉会の辞とサルヴァトーレ・アリコ博士からの謝意で締めくくられました。

    詳しくは、UNU-ISPウェブサイトの Symposium Report をご覧ください。