新しい世界的なオンライン大学研究ベンチマーキングシステム

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  • 2011年11月23日     Macau

    大学研究の国際的ベンチマーキングの画期的な取り組みであるグローバル・リサーチ・ベンチマーキング・システム(GRBS)が発足し、www.researchbenchmarking.orgでご利用いただけるようになりました。

    2010年10月にニューヨークの国連本部で初めて発表されたGRBSイニシアチブは、中国、マカオの国連大学国際ソフトウエア技術研究所(UNU-IIST)と、米国を拠点とする大学パフォーマンス評価センターが共同で進めているプロジェクトです。

    GRBSは、これまでの国際的な格付け・評価システムに比べて、大学研究の実績についてより細部にわたる分析を行うことにより、大学研究の多様性を支える洞察を提供することを目的としています。GRBSでは、工学や医学といった広義の学科領域に加え、航空宇宙工学や心臓病学のような詳細な学科領域も設定されています。各大学の具体的な得意分野とともにそのパフォーマンスを示すことによって、GRBSは最大で最も包括的な評価機関よりも幅の広い視点を提供することができます。

    またGRBSは、「持続可能な開発」における研究状況の評価を試みた最初の研究評価システムでもあります。まずは再生可能エネルギー(太陽エネルギー、風力、水力、およびバイオ燃料とバイオマスエネルギーなど)を主な対象としていますが、数カ月後には気候変動や生物多様性保全などの分野が追加される予定です。

    「現在の格付けシステムにみられるように、大学の豊かな貢献を成績表の中のたった1つの数字にまとめてしまうべきではありません」と、UNU-IIST 所長のピーター・ハダウィ教授は言います。「GRBSは、高等教育の優秀性を育むために、広範な情報を求め、重要な問題についての議論を促進する学術界のオープンで協調的な取り組みです」

    GRBSは、科学研究の質、影響力、および国際性を評価するために検証可能なデータを使用します。典型的な格付けシステムのように指標へのウエイトを固定して特定の大学のプロフィールを推奨するのではなく、各ユーザーが大学の研究実績の中で自分のニーズに最も合った側面に重点を置くことができるよう、個々の指標を選択し自分でウエイトを設定できる柔軟な分析ツールを提供しています。

    GRBSは、ある大学の研究実績を、ユーザーが定義した同等の大学や希望する大学のベンチマーキンググループの業績と、総合的にまたは広義の科目領域や詳細な科目領域について比較することができるユニークなベンチマーキング機能を備えています。

    総合的な格付けは、15の一次領域全体にわたる得意研究分野の包括性を測る基準となります。その後、広義の科目領域15と詳細な科目領域251全体についての(あるいはそのうちの特定のサブセットについての)科目格付け・ベンチマーキング機能を使用して、さらに細かく調べることが可能です。

    この新たなアプローチは、各大学が自らの研究プロフィールを決定するとともに得意分野を特定し、より合理的な戦略的決定や資源配分決定を行い、相補的な強みを持つパートナー候補を特定し、各自のプログラムの長所を宣伝するうえで役立ちます。

    GRBSの主なデータ源は、質の高い国際的な査読済み研究文献を幅広く提供するエルゼビアの要約・引用データベース「SciVerse Scopus(サイバース・スコーパス)」です。

    GRBSの最初の分析結果は、北米とアジア太平洋地域の700校以上の大学を対象としています。今後数カ月間のうちに世界の他の地域の大学も加わる予定になっており、その手始めとして2012年の第1四半期にはEUの大学が加わります。