東北地方太平洋沖地震への対応について

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  • 2011年3月17日     東京

    3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に被災した方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。現在も余震・津波・原子力発電所からの放射能漏れへの警戒が続く中、災害対策に全力を尽くしている皆様の努力には深く敬意を表しますとともに、被災地域での救助と復興が一刻も早く進みますことを心よりお祈りいたします。

    国連大学の大学院生、教職員スタッフにおいても、この地震の影響を受けたことと思います。余震や原子力発電所からの放射能漏洩など今後の災害発生に注意しながらも、客観的な情報の入手に努め、各自の安全について冷静な判断をしたうえで、それぞれの本務を果たしていただければと思います。本研究所としても、所内メーリングリスト等を通じてできるだけ客観的な情報提供を行うとともに、スタッフ・学生へのサポートを継続的に行います。

    被災地では、ライフラインの断絶と物資不足に加え、寒波と原子力発電所からの放射能漏れにより、極めて厳しい状況にあります。大地震と大津波という自然災害による被害だけでなく、高度技術リスクに晒された複合的な状況にあっては、自然科学、社会科学、人文科学を統合した学融合のアプローチによる科学的な知見に基づくあらゆるレベルの活動の強化が必要です。

    国連大学は、これまでリスク管理を大きな命題のひとつとして研究教育に取り組んできました。この未曾有の災害に、科学的な立場から、客観的な情報をもとに提言を行うのが私たちの使命であると考えます。同時に、さまざまによせられている国際社会からの支援と、日本のおかれた状況を結びつける触媒の役割を果たし、かつこの大震災の教訓を世界に発信していくのが私たちの責務です。被災地に常に思いを馳せつつ、この使命と責務に向け、本研究所の総力をあげて取り組んでいきたいと考えています。

    武内和彦

    国連大学副学長

    国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)所長