追悼:エンリケ・フォレロ国連大学理事のご逝去に関するお知らせ

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  • 2023年9月9日

    国連大学は、2022年5月から国連大学理事を務めてきたエンリケ・フォレロ博士のご逝去を報告するとともに謹んで哀悼の意を表します。フォレロ博士は2023年9月5日、80歳で永眠いたしました。

    著名な植物学者であり、コロンビアや世界の科学・学術界におけるリーダーであったフォレロ博士は、地球の植物資源の研究や自然環境保護に生涯を捧げました。

    エンリケ・フォレロ氏は1942年12月7日にコロンビア共和国のボゴタで生まれ、コロンビア国立大学で植物学の学士号を、ニューヨーク市立大学で博士号を取得しました。

    亡くなった当時、フォレロ博士は国連大学理事会の理事を務めていたほか、国際学術会議(ISC)のラテンアメリカ・カリブ海地域フォーカルポイント議長も務めていました。

    フォレロ博士は1967年から正教授を退任する2003年までコロンビア国立大学に所属し、コロンビア国立標本館長、植物学部長、体系学大学院プログラムの初代ディレクター、自然科学研究所長、科学学部長などを歴任しました。

    フォレロ氏は国際的な活躍も顕著で、ミズーリ植物園(米国)の研究ディレクターやCENARGEN(国立遺伝資源研究センター、ブラジル)の国際コンサルタント、ニューヨーク植物園の植物分類学研究所長などを務めたほか、ブラジル、コロンビア、デンマーク、そして米国の大学で客員教授や非常勤教授を務めました。

    フォレロ博士はコロンビア植物標本協会やラテンアメリカ植物協会の設立に大きく貢献し、後者では2回ほど会長を務めました。また、ラテンアメリカ・ボタニカル・ネットワークの科学委員会の創設メンバーの一人でした。

    学者としての業績に加え、フォレロ博士は生物多様性保全の推進に情熱を注ぎ、20年以上にわたって国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会や、IUCN・世界自然保護基金(WWF)合同植物アドバイザリーグループに積極的に関与しました。また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)のコロンビアおよび中南米代表を務めました。

    フォレロ博士はそのキャリアにおいて、コロンビア精密物理自然科学アカデミー会長(2013年-2022年)やコロンビア・アカデミー・カレッジ総長などの役職にも就き、リーダーシップを発揮しました。フォレロ博士は、米州科学アカデミーネットワーク(IANAS)理事会やISC科学の自由と責任に関する委員会、アマゾンのための科学パネルの戦略委員会などにも所属していました。

    フォレロ博士は120以上の出版物を著しました。

    「エンリケ・フォレロ博士は国際科学コミュニティーにおいて非常に優秀な植物学者、学者、そしてリーダーとして記憶されるでしょう。彼は、地球における植物の多様性と豊かさに関する私たちの理解を広げ、その貢献は計り知れません」とチリツィ・マルワラ国連大学学長は述べました。「フォレロ博士による国連大学理事会への貢献に、特に感謝しております。彼の逝去は、他の国連大学理事や国連大学スタッフ一同にとって大きな喪失となるでしょう。大変つらい時期を迎えているご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。」

    マルワラ学長の指示により、東京の国連大学本部ではフォレロ博士の人生とその業績に敬意を表し、7日間、半旗を掲揚します。