2015年8月24日 横浜市
7月28日から29日、「第7回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2015)」が、横浜市のパシフィコ横浜にて開催されました。2020年以降の気候変動枠組み、そして2016年から2030年までのポスト2015年開発アジェンダにおける新たなグローバル開発目標「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する国際交渉が本格化しているなか、UNU-IASと公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)が共催した本会議では、これらの目標の達成に向けた具体的な道筋について話し合われました。
コロンビア大学地球研究所所長のジェフリー・サックス氏は、初日の基調講演のなかで、SDGsの17の目標のうち「気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に触れ、「地球温暖化を2度未満に抑えるためには、2070年までに二酸化炭素の排出量を完全に0に削減しなければならない」と述べました。さらに、脱炭素化技術の開発に関して、「日本・中国・韓国が、平和的かつ経済的に協力することで、世界全体をリードする技術開発が可能だ」と強調しました。
パネルディスカッションでは、経済雑誌の「エコノミスト」に掲載された記事が話題に上り、「SDGsは実行不可能なくらい高額で、世界のGDPの4%が必要だとする意見にどう答えるか」と尋ねられた同氏は、「この見解は全く間違ったものだと思う」として、「我々の所得の4%で目標が達成されるなら安いと言える。これまでの利益追求型から問題解決型の考え方に移行すべきときで、これは経済の問題ではなく、我々の意識や注意、倫理の問題だ」と指摘しました。また、どのようにSDGsを達成するかについては、「企業と連携した政府の戦略に沿って、実行計画の策定が大事になってくる。技術・インフラ整備・公共サービスの価格設定・研究開発などの分野では特に、目標を立て、パートナーを募り、戦略を立てるという流れが必要だ」と加えました。
このセッションの最後には、国連の「持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)」の日本支部となる「SDSN Japan」発足式が開催され、地球環境戦略研究機関理事長の浜中裕徳氏、地球環境ファシリティCEOの石井奈穂子氏らとともに、設立趣意書を掲げました。SDSN Japanは日本が抱える問題の解決に向けて活動を進めます。SDSNのディレクターであるサックス氏は「高齢化社会のパイオニアでもある日本が抱える問題は、将来的に世界各国が直面する問題でもある」として、「日本からSDGsの達成に向けた貢献ができることを期待している」と述べました。
この後2日間に渡り会議が続き、アジアにおける低炭素技術協力、SDGsに関するアジア諸国の準備状況、SATOYAMAと持続可能な開発などに関するセッションも開催されました。
詳しくは、IGESのウェブサイトから発表資料や記録動画をご覧ください。