中学・高校生が国連大学本部を訪問、白波瀬副学長と面会

News
  • 2022年4月20日     東京

    Photo: C. Christophersen/UNU

    2022年3月30日、日本全国から14名の中学・高校生が東京にある国連大学本部を訪れました。このたびの訪問は、日本国際連合協会と外務省との共催で開催され、奥・井上記念青少年国連訪問団(東京プログラム)で毎年行われる全国作文コンテストおよび主張コンクールで受賞した中学生と高校生が参加しました。昨年度のコンテストおよびコンクールでは、2,148件の応募があり、予選を通過したのはわずか46件でした。生徒たちは、「​​日本が国際社会でリーダーシップを発揮するためには、どうすればよいか」や「日本における持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、私たちが国連とできること」など、予め定められたテーマについて彼/彼女らの主張を述べました。

    国連大学への訪問の前半では、国連大学本部の建物に所在する様々な国連機関が紹介されました。また、過去に数々のイベントで使用されたエリザベス・ローズ国際会議場やウ・タント国際会議場などの主要施設の見学も行われ、学生たちは、会議場の名称の由来や、過去に会議場を訪れた多くの著名なゲストについての話に熱心に耳を傾けていました。

    訪問の後半では、国連大学の白波瀬佐和子上級副学長との懇談会が行われました。白波瀬上級副学長は、国連大学の歴史や使命について説明し、その後、生徒たちとの質疑応答が行われました。参加した学生から、「平和と発展は、国連大学のミッションの一つだと聞いたが、平和との関連で発展の重要性は何か」という質問に対し、白波瀬上級副学長は以下のように答えました。

    開発途上国と言われている国の中でも、豊かな国とそうでもない国があります。発展していないと、様々な社会制度が不備であることが多く、公衆衛生を含め国が発展し豊かになることで整備されてきた歴史があり、その意味では発展していることは良いことではあります。そこで重要な点は、全ての人が人間らしい生活が享受できるよう保障されることで、それは地球上どの国にいても同じです。平和の問題と発展という問題は直接的に関係しないように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。我々は皆、繋がっているのです。繋がっているからこそ、どのように協力して平和や発展の問題を解決していくべきか、を考えることは重要で、あるいはどのような政策を優先して貢献していくべきかという問題も大切です。我々が目指すべきは、平和で、互いの違いを尊重し合う世界なのです。皆さんの世代は、どのような国に対しても、どのような状況であっても、どうすれば共生できるかを考えていかなければなりません。

    また、別の学生からは、高等教育の真の目的に関する質問があり、特に日本では実用面や就職に重点が置かれ、本来の目的からずれてしまっているのではないか、という問題提起がありました。これに対し、白波瀬上級副学長は以下のとおり述べました。

    高等教育を受けることの一番重要なポイントは、身近な正確を超えて社会的な想像力を磨いていくことです。例えば、ウクライナの現状からも見られるように、人生の選択肢や機会が限られている人々がいます。もし、日本で同じようなことが起きたら、私たちはどう対応するでしょうか。そのような場面を経験したことがないので、想像するのは難しいかもしれませんが、もしかしたらと想いを馳せることはできます。いまある生活圏を超えて想像する力があるからこそ、幅広いテーマで議論ができ、様々な背景を持つ人々と出会い、様々な角度から状況を理解することができるのです。しかし、そのようなことができるには努力が必要です。大学に通うことはその努力をする場が提供されるということです。大学には様々な分野と学部があり、そこで専門的な教育を受け、知性を鍛えることができます。自分が与えられた機会、育ってきた環境から一歩踏み出して、社会的な想像力を鍛えてほしいと思います。

    懇談会の終わりに (記念撮影が行われ) 白波瀬上級副学長は学生たちの訪問と熱心な質問に感謝し、今後も引き続き若い世代と共に学ぶ機会に期待し、締めくくりました。(SDGsのバッジや国連大学のパンフレット、資料、ノートなどの記念品が学生に贈呈されました。)

    Photo: C. Christophersen/UNU