2011年6月20日 東京
6月11日、北京で開催されていた世界農業遺産フォーラムにおいて、佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」と能登地域GIAHS推進協議会 の「能登の里山・里海」が、日本では初となる世界農業遺産(GIAHS)に正式に認定されました。
世界農業遺産(GIAHS、ジアス)は、グローバル化の影響で衰退の途にある伝統的な農業や文化、景観を保全する目的で、国連食糧農業機関(FAO)が2002年に創設しました。国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)では、以前から世界各地の「農業多様性」の研究で得られた知見や情報を活かし、世界各地のGIAHS登録対象サイトの発掘など、GIAHSの推進に協力しており、これまで中国の水田養魚、フィリピン・イフガオの棚田、チリの古代バレイショ農法など、8か所のGIAHSサイトが認定されていました。
こうした背景の下、国際生物多様性年の2010年、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催され、生物多様性保全に向けた日本発の貢献や国際的な連携推進のため、里山のGIAHS認定を実現する機運が高まりました。そこでUNU-ISPは、佐渡と能登をGIAHS候補サイトとして登録推薦を働きかけるなど、UNU-IASいしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット、また農林水産省北陸農政局と連携して、北陸地方からのGIAHS申請の支援を進めてきました。
今回のGIAHS認定を受け、6月16日に佐渡市で、17日には能登・輪島市で、認定式と記念イベントが開催されました。認定式において武内和彦・国連大学副学長は、「農林水産業の振興が国土再生の鍵。GIAHS認定を農産物のブランド化や観光など地元の振興に活用するほか、海外のGIAHSサイトとの交流を通じて、里山の価値の発展的普及に努めてほしい」などと提言しました。