訃報:ネビン・スクリムショー博士、国連大学世界飢餓プログラム創立者

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  • 2013年2月18日     東京

    マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所名誉教授であり、国連大学世界飢餓プログラムの創立者であるネビン・S・スクリムショー博士の訃報を、深い悲しみとともにお伝えします。スクリムショー博士は、2013年2月8日金曜日、鬱血性心不全のため95歳でお亡くなりになりました。

    スクリムショー博士は、100カ国以上を飛び回った70年間に及ぶそのキャリアを通じて、栄養失調と飢餓の軽減をライフワークとし、開発途上国に暮らす何百万人もの人々の生活に恩恵をもたらしました。公衆衛生のパイオニアとして、数々の栄養失調対策の開発を支え、多くの研究プログラムや研究所を指揮しました。

    1949年にスクリムショー博士は、栄養失調の研究を専門に行う最初の国際的な研究施設、中米パナマ栄養研究所の創立者兼初代所長となりました。12年間にわたり同研究所の所長を務めるとともに、世界保健機関の栄養部門地域アドバイザーとしても活躍しました。

    スクリムショー博士は1961年に人間栄養学教授としてマサチューセッツ工科大学に迎えられました。同大学で行った画期的な研究により、博士はいくつもの賞や栄誉を受けました。その一つが、特別な偉業を成し遂げたすぐれた研究者のみに授与される研究所名誉教授の地位でした。博士は1988年に同大学を退きました。

    1975年にスクリムショー博士は、国連大学世界飢餓プログラムを立ち上げました。1997年12月31日まで国連大学人間・社会開発のための食料・栄養プログラムの指揮をとり、その後も引き続き最高顧問を務めました。また、1984年に国連大学とのパートナーシップにより設立されたネビン・スクリムショー国際栄養財団の創立者兼名誉会長も務めました。

    スクリムショー博士は生涯を通じて、現地で生産される低コストの食料による栄養失調の予防という原則に焦点を置いた研究を貫きました。博士の研究により、タンパク質・鉄・ヨウ素欠乏症と闘うための低価格で入手可能な栄養補助食品が数多く生まれ、開発途上国を含む世界中の多くの科学者たちが博士の実践的な哲学と指導の影響を受けました。

    スクリムショー博士は、そのキャリアの中で数々の賞や栄誉を受けました。1991年には、「開発途上国における栄養失調の軽減に生涯を捧げた」ことが認められ、世界食糧賞を受賞しました。

    ご遺族には、71歳の奥様、メアリー・スクリムショーさん、ご子息4人とご息女お1人、10人のご令孫、そしてご曾孫お1人がおられます。