ゾンケ・クレフトに聞く:自転車でCOPにゴー!

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  • 2023年6月23日

    ゾンケ・クレフトはドイツのボンに所在する国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)で気候リスク最高戦略責任者およびミュンヘン気候保険イニシアチブ事務局長を務めています。2008年以降の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の全ての交渉セッションに参加し、毎年の締約国会議(COP)にも参加してきました。気候行動に熱心なゾンケは、過去に2回ほど自転車でCOPに向かいました:2018年にポーランドのカトヴィツェで開催されたCOP24、そして2021年にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26。

    先日の世界自転車デー(6月3日)に際し、過去のCOPへの自転車旅についてゾンケに聞きました。


    Photo: Arianna Flores Corral / UNU-EHS

    なぜCOPに自転車で行こうと思ったのですか?

    私は熱心なサイクリストですし、メッセージを発信したいと思いました。私たちは気候変動やリスクに関する研究活動を行っています。研究者であり、時に政策決定プロセスに関わることもありますが、同時に解決策に自ら参加することもできます。毎回COPに自転車に行ければよいのですが、開催地によっては距離が遠すぎてそれが叶いません。1,000キロ以下の短距離フライトは避けるというScientists for Future(S4F:未来のための科学者)の公約に私も賛同しているので、ヨーロッパ内での移動の際には基本的に列車を利用します。あえて自転車でCOP開催地まで移動することで、「私たちの行動を変えていかなければならない」というメッセージを発信したかったのです。気候変動は現実に起こっていますが、変革を起こせる可能性もあります。サイクリングは健康にもよいですし、持続可能な移動手段でもあります。

    COP開催地まで自転車で行ったことで、途中で通過したコミュニティや地域とつながることができ、ワクワクする経験が得られました。期限までに目的地にたどり着けるよう、十分なスピードで移動しつつも、風景を楽しむことができました。

    グラスゴーでのCOP26への旅の際には、UNU-EHSの広報チームとともにソーシャル・メディア・キャンペーンを展開しました。旅路の途中で、気候変動や気候行動、適応に関する情報や洞察を提供し、私の感想を伝えました。約900キロにも及ぶ長旅でしたので、そのような情報発信に適した場所をたくさん通過しました。例えば、2021年の夏に西ヨーロッパを襲った洪水の影響や、高潮や海面上昇から海岸を守る約200キロのオランダの海岸砂丘を目の当たりにし、写真におさめることができました。また、イギリスのヨークシャー州ではペナイン山脈の泥炭地を見ましたが、これは非常に湿った環境でしか形成されない泥炭(ピート)に覆われた地形で、大気中の二酸化炭素を吸収してくれるカーボンシンクとして機能しています。

    COPへの自転車の旅で特に印象に残っている出来事はありますか?

    カトヴィツェに行った際は、5日間の移動時間しか設けていなかったので、毎日約200キロも自転車を漕がなければなりませんでした。かなり疲れたので、グラスゴーの時はもう少し時間に余裕をもって出発しました。それなのに、最初の2日間で嵐に見舞われてしまい、前進するのに逆風を押し切って漕いで行かなければなりませんでした。さらに、その時期、50年に一度の大雨がイギリスを襲ったのです。私も少し大雨に打たれましたが、幸い、ずっとではありませんでした。

    グラスゴーに向かう途中で、姉妹研究所の国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(UNU-MERIT)と国連大学地域統合比較研究所(UNU-CRIS)を訪問し、カトヴィツェへの道中では、国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所(UNU-FLORES)を訪れました。こうした訪問で同僚研究者と会うことができ、彼らが取り組んでいる活動について知る機会となりました。

    しかしながら、最も印象に残っているのは、移動中に見た風景の多様性です。サイクリングしながら、空間と距離を肌で感じることができました。多くの方からたくさんの励ましを受け、同時に、多くの面白い人に会うことができました。例えばスコットランドでは、竹から作られた巨大なホッキョクグマを台車でCOPまで運んでいる男性に会いました。彼はイギリスの南部から旅を始め、グラスゴーまで500キロ近く歩いてきたのです。この男性と会ったことで、いかに多くの人が気候や気候危機、そしてCOPの成果に関心を寄せているか、改めて気付かされました。

    もう一つ、懐かしい思い出があります。それはカトヴィツェに到着した時のことです。旅の最終日、雪が降り始めました。限界に達した自転車は悲鳴をあげ、私も凍える寸前でした。ようやく到着した時には、なんと達成感に満たされたことか!グラスゴーに到着する寸前にも同じようなことが起き、ただしその時は雪ではなく大雨でした。あと1日も自転車を漕ぐ体力が残っていなかったので、自転車での旅を無事にコンプリートすることができ、本当に嬉しかったことが記憶に残ります。