ハイレベル政治フォーラムで国連大学の取り組みを紹介

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  • 2020年8月4日

    国連の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)2020が、7月7日~16日にオンラインで開催されました。HLPFは、持続可能な開発のための2030アジェンダとその17の持続可能な開発目標(SDGs)のフォローアップとレビューを行うために、国連が毎年開催する会議です。

    今年のHLPFのテーマは、「Accelerated action and transformative pathways: realizing the decade of action and delivery for sustainable development(行動の加速と変革のための道筋:行動の10年の実現と持続可能な開発の遂行)」。国連大学は、特別イベントと3つのサイドイベントを共催し、持続可能な開発に関する取り組みを幅広く紹介しました。

    下記4つのイベントでは、人類が世界規模で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に対応する中、すべてのレベルにおいてSDGs達成への取り組みをさらに強化する必要性と、より持続可能でレジリエント(回復力のある)かつ包摂的な社会を実現するためには「より良い復興」に向けた統合的アプローチをとる重要性が、共通テーマとして掲げられました。

    高等教育: 7月8日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ (HESI)に関する特別イベントを共催しました。「Where next? これからの高等教育の再構築について」と題し、持続可能な開発と復興を支えるために高等教育をどのように再構築していけるか、また、COVID-19のパンデミック(世界的流行)が高等教育機関にどのような影響を与えているかについての議論が行なわれました。

    本イベントの詳細についてはUNU-IAS の報告記事をご覧ください。また、録画映像もYouTubeでご覧いただけます。

    エネルギー資産: 7月10日、国連大学アフリカ自然資源研究所(UNU-INRA)、 国連大学環境・人間の安全保障研究所 (UNU-EHS)、およびUNU-IASの3つの国連大学機関は、サイドイベント「『座礁』資産リスクの管理と新たな可能性」をパートナー機関と共同で開催しました。本イベントでは、アフリカが化石燃料から脱却し「脱炭素化経済」へと移行する際に生じる社会経済的影響と、 アフリカにおける資源の多様化および持続可能な開発の可能性について取り上げました。議論では、COVID-19がグリーントランジション(環境配慮や持続可能性のある社会への移行)に対しどのような影響を及ぼすのか、またパンデミック収束後の「より良い復興」の一環としていかに気候変動に取り組くべきかについて触れるとともに、地域的視点に重点を置き、アフリカが日本などの先進国の戦略をどう取り入れることができるかについても検討しました。

    本イベントの詳細は、UNU-INRA のプレスリリースとUNU-IASの報告記事をご覧ください。また、録画映像はFacebook上からご覧いただけます。

    現代の奴隷制: 7月13日、国連大学政策研究センター(UNU-CPR)は、「Sustainable Finance’s Role in Reducing Modern Slavery: COVID-19’s Lessons on Protecting the Most Vulnerable(現代の奴隷制をなくすための持続可能な金融の役割:最も弱い立場の人々を守るためのCOVID-19からの教訓)」というサイドイベントを開催しました。本イベントでは、COVID-19の拡大によって、労働搾取や人身売買の被害が起こりやすくなっている状況や、現代の奴隷制のサバイバー(被害者)にもたらされる影響、とくに移住労働者が直面しているリスクなどが議論されました。さらに、奴隷制および人身取引に関する金融セクター委員会のための「リヒテンシュタイ ン・イニシアティブ」の知見を参考に、これらの問題の解決につながる効果的な行動を促進させるために金融セクターが果たせる重要な役割についても話し合われました。

    本イベントの詳細は、HLPFウェブサイト内の関連ページをご覧ください。また、録画映像はYouTubeからご覧いただけます。

    生物多様性: 7月16日、UNU-IASは、サイドイベント「自然共生社会の実現に向けて:コミュニティ・ランドスケープ・シースケープを考慮した包括的なアプローチ」を共催しました。本イベントでは、UNU-IASと日本の環境省による世界的な取り組みである SATOYAMAイニシアチブ、そして生物多様性の保全および人間のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態であること)の向上に向けたランドスケープ・アプローチに着目。また、より持続可能な未来に向けて、COVID-19からの復興にランドスケープ・アプローチがどのように貢献できるかも論点となりました。

    このサイドイベントの詳細については、UNU-IASの報告記事ご覧ください。また、Zoomの録画映像もご覧いただけます。

    ※録画映像は全て英語のみとなります。