持続可能な開発目標(SDGs)と都市の未来デザインに関するイベントを共催しました

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  • 2021年5月21日

    国連大学の沖大幹上級副学長らは、5月6日に開催された国連のSTI(科学技術イノベーション)フォーラムのサイドイベント「STIによるSDGs達成を促進する都市の未来デザイン」に参加し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や自然災害の影響の中で、いかに都市が持続可能に発展するかについて幅広く議論しました。

    本イベントは、公益社団法人日本工学アカデミーが主催し、国連大学および国連日本政府代表部の共催のもと、オンラインにて開催されました。

    冒頭、沖上級副学長はアウトブレイク時のリスク管理をするために、新たな枠組みを構築する必要性について述べました。パンデミック(世界的流行)、洪水、交通渋滞や通信障害などのアウトブレイクが起きた際、平常時の何百倍もの負荷が社会システムにかかってしまうと指摘し、緊急時に備えるために冗長性と効率性をどのように両立するかについて考えることが重要であると見解を示しました。

    また、ドイツのドレスデンに拠点を置く国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所のダニエル・カルテ氏は、モンゴルのウランバートル市における急激な都市成長とインフラ開発について発表しました。モンゴル遊牧民の伝統的な居住であるゲルの居住区において、水やエネルギー不足に加え交通渋滞により生活環境が悪化していることを指摘し、今後インフラ開発計画において環境汚染の影響についても考慮すべきと述べました。

    さらに、中央大学の石川幹子教授は、自然災害対策で活用できるグリーンインフラについて、国連大学の東京本部でジュニアフェローとして在籍しているグゼル・イシキネエバ氏はロシアで日本が取り組んでいるスマートシティの整備について紹介しました。東京医科歯科大学の中島義和教授は、マルチモーダルAI(多様な情報を活用する人工知能)の開発と未来の都市システムについて解説しました。

    質疑応答では、技術・インフラ開発を都市計画においてどのようにいかすべきかなど闊達な議論が行われました。特に開発途上国においては、ハイテク・ソリューションはコストを削減し、効率を高めるかもしれないが、それを適切に運用・維持・廃棄する地域の能力を超えてしまう可能性があります。そこで、適正技術とは何かについて考える必要があるという指摘もなされました。

    最後に、沖上級副学長は次のように述べました。

    「都市の未来デザインを議論する上で、先進国を中心に考えてしまうとたくさんの都市が取り残されてしまいます。貧困や不平等をなくすような未来デザインを描くために、開発途上国の社会経済開発も同時に進め、包摂的なアプローチを取る必要があります」