マローン学長と沖上級副学長、国連創設75周年記念フォーラムに登壇

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  • 2020年11月30日     東京

    国連大学のデイビッド・マローン学長と沖大幹上級副学長は、11月18日に参議院会館で開催された「国連創設75周年記念事業 平和フォーラム」に登壇し、気候変動などの課題に対する国連の役割について話しました。

    本イベントは世界連邦日本国会委員会、日本国際連合協会、および京都芸術大学の主催で、小泉進次郎環境大臣や超党派の衆参両院議員、駐日外交団などの出席のもと行われました。

    マローン学長は基調講演で、国連の役割が創立当初から時代と共に変わってきたことを指摘。第二次世界大戦後の世界では平和と安全保障を中心としていたものの、植民地化されていた国々の独立によって世界情勢が大きく変わり、国連もようやく社会や経済の開発に着目するようになったと述べました。

    その流れで、開発途上国の支援という視点から2000年にミレニアム開発目標(MDGs)が誕生し、その後2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)では、先進国も含めたすべての国が一体となって地球規模の課題に取り組むべきという考え方に変わりました。

    マローン学長はその中でも気候変動対策が急務であると強調し、2015年に採択されたパリ協定で明示されている、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標について次のように述べました。

    「この非常に大きな問題に対して、今まさに自分たちの行動を変え、先進国も開発途上国も含めすべての国が直ちに有意義な行動をとらなければ、2050年、2060年の目標を達成することはできません」

    一方沖上級副学長は、10月に菅義偉首相が発表した2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標について、アントニオ・グテーレス国連事務総長が首相のリーダーシップへの期待を述べたと紹介しました。その目標を達成するには今から毎年、温室効果ガスの排出を7%削減する必要があり、再生可能エネルギーの大幅な普及も必要です。しかし、土地が狭く人口密度が高い日本では、太陽光エネルギーや風力発電の開発は限定的になるため、より広い平地がある海外の国とのパートナーシップが重要になってくると言及。

    「地球温暖化や気候変動を含む環境問題は、国際協調が不可欠な課題の象徴です。グローバルパートナーシップのもと、すべての国が経済活動などに逃げることなく一つの目標に向かって取り組む枠組みが必要です。国連を通して推進できる部分に関してはぜひ活用してください」と呼びかけました。