サステイナビリティにおけるグローバルリーダーの創出

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  • 2011年9月12日     東京

    9月12日、国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)は、東京の国連大学本部において、修士課程(M.Sc.)「サステイナビリティと平和研究科」の一部として、2011年短期集中講座(IC)を開講しました。この短期集中講座の開講期間は6週間(2011年10月21日まで)で、次世代の国際リーダーを育成し、サステイナビリティにかかわる地球規模の課題を解決するために必要なスキルを習得させることを目的としています。

    国連大学副学長の武内和彦教授は歓迎スピーチの中で、UNU-ISPの修士課程プログラム(2010年開始)の必修科目として2年連続で開講される4つの短期集中講座は、参加者が「喫緊の地球規模の課題」に取り組み、「地球規模の問題の解決策を見出す」うえで助けとなると述べました。「この短期集中講座により、日本の国連大学本部における教育・能力育成機能が拡充されました。すべての参加者が、本年度の講座から恩恵を得るとともに、その成功に貢献することを期待します」と武内副学長は締めくくりました。

    さまざまな国籍と経歴を持つおよそ60名の学生が本年度のICに参加します。うち12名は、UNU-ISP修士課程プログラムを新たに開始した新入生、4名は2年目(最終学年)に進級した継続生です。これに国連大学高等研究所(UNU-IAS)修士課程「環境ガバナンス生物多様性研究科」の学生14名と、その他世界各地の大学院生や専門家31名が加わります。開発途上国からの参加も多く、本年度のICの参加者の出身地は、42パーセントがアフリカ、23パーセントがアジア、18パーセントが南北アメリカまたはオセアニア、残りがヨーロッパとなっています。

    参加者の一人でマラウイから新たに日本にやってきたマーサ・カレンバさんは、国連大学で学び始めることに興奮していると語りました。マーサさんはマラウイの環境省の職員で、2年間のUNU-IAS環境ガバナンス修士課程プログラムの一環一部としてこの短期集中講座を履修します。

    「昨今マラウイでは環境問題が大きな関心を集めているので、この講座は非常に今日的な意味があります。しかし現在のところ、(マラウイ)政府の知識には多くの欠落部分があり、国民はつねにこの問題を適切に理解しているとは言えず、最良の合意に達することができない場合があります」と彼女は語ります。「この講座で得た知識をマラウイに持ち帰り、これらの欠落部分を埋める手助けがしたいのです」

    スリランカから来たカスンディカ・バンダラさんも同じ考えです。「スリランカにはまだしっかりとした環境政策がありません」と彼女は言います。国連大学で2年間学んで、生物地理学の知識をさらに深め、将来スリランカの環境問題や課題の管理においてより実際的な役割を果たすことができるようになりたいと考えています。

    ネパールからの参加者ビドゥール・カドカさんは、環境ガバナンスと持続可能な森林管理に強い関心があったため本講座に興味を持ったと言います。「私はネパールに戻ってからREDD+関連のプロジェクトで働きたいと考えており、国連大学で学ぶことによって環境ガバナンスの問題と生物多様性に関する知識を深めたいと思っています」

    マレーシア出身のパーリー・ウォンさんもUNU-ISP修士課程プログラムの学生で、国際開発分野の研究における国連大学の「世界的な評判」に惹かれて国連大学で学ぶことに興味を持ったと言います。「コースワークに対する統合的なアプローチと一流の専門家に会う機会が与えられることを考えると、国連大学で学ぶことが最良の選択だと思いました」と彼女は言います。

    参加者たちは、9月12日に開催された開講式で、元ユネスコ事務局長の松浦晃一郎氏、外務省(MoFA)広報文化交流部長の村田直樹氏、文部科学省(MEXT)国際統括官の藤嶋信夫氏を始めとする特別ゲストに温かく迎えられました。多くの国連大学教員や外交関連組織の代表者も出席しました。

    短期集中講座で開講されるのは、「国連システムと地球規模課題」、「国際協力と開発」、「地球変動とサステイナビリティ」、「国際平和と安全保障」の4科目で、全科目とも学際的展望が強調されています。

    ICを修了した学生には、UNU-ISPより修了証明書と成績証明書が授与されます。各科目の取得単位数は2単位で、授業時間は36時間です。いくつかの大学がUNU-ISPとの単位互換制度の交渉を行っていますが、単位の互換が可能かどうかの判断は各学生の所属大学が行います。

    UNU-ISP修士課程「サステイナビリティと平和研究科」の詳細

    UNU-IAS修士課程「環境ガバナンス生物多様性研究科」の詳細(英語)