2014年12月9日 名古屋
2014年11月9日、国連大学は持続可能な開発のための高等教育に関する国際会議:2014年以降の高等教育のあり方を名古屋にて開催しました。国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD) 2005~2014の最終年を迎え、会議ではこの10年間を振り返り、2014年以降の持続可能な開発のための教育(ESD)へのコミットメントが再検討されました。世界66カ国から集まった約750名の参加者とともに、会議では学びや知識開発と研究における革新的な実践を主流化することに重点をおき、高等教育の変革に向けた主要課題と道筋を取り上げました。
会議は、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連経済社会局(UN DESA)、国連環境計画(UNEP)、国連グローバル・コンパクト責任ある経営教育原則(PRME)、および国際大学協会(IAU)の協力のもと、環境省および文部科学省、名古屋大学の共催で開催されました。
会議では「持続可能な開発のための高等教育に関する名古屋宣言」がまとめられ、会議参加者はその中で、DESDの枠組みの中で作られた数々のコミットメントを再確認・再認識しました。宣言は、持続可能な開発に向けて変革を引き起こす高等教育の役割への支持を世界のリーダー達に呼びかけるとともに、持続可能な社会を創出するために不可欠な高等教育機関の役割と責任を認識しました。なお、宣言と会議の成果は11月10~12日に名古屋で開催されたESDに関するユネスコ世界会議でも共有されました。
会議は、デイビッド・マローン国連大学学長、ユネスコ事務局長のイリーナ・ボコバ氏をはじめとした関係機関の代表者によるスピーチで開幕しました。「機関包括的アプローチ」に関する最初のハイレベル・パネルでは、ハンス・ファン・ヒンケル博士(元国連大学学長)が高等教育機関に対して、科学の飛躍的な進歩を通じて多分野を繋ぐマトリクス組織の原則の実施を呼びかけました。ESDに対する機関包括的アプローチが社会により広く伝わるためには、教育や研究の枠を超えていく必要があります。
国連大学の武内和彦上級副学長は、国連大学がサステイナビリティ・サイエンスの推進と、政策対応型研究の実施、リーダーシップのための能力開発の取組、ネットワークの強化を通じ、2014年以降もESD の促進に尽力していくことを強調しました。
次のハイレベル・パネルでは、「多様なセクターを巻き込んだ取組みの推進」に焦点を当てました。ズルキフリ・アブドゥル・ラザック教授(IAU会長)は、知識システムの尊重、社会的ニーズへの妥当性、および相互関係という、持続可能性とマルチステークホルダー・パートナーシップに関する3本の柱について考えを共有しました。
アナンサ・クマール・ドゥライアパ博士(ユネスコ・マハトマ・ガンディ平和と持続可能な開発のための教育研究所所長)からは変革的な学びと高等教育機関間での「ナレッジコモンズ」の発展が呼びかけられました。博士は、グローバルな持続可能な開発に関する課題への対応にあたっては、これらの2つの要素の実施が今日の課題であると述べました。
パネル・セッションに続くディスカッションでは、政策的支援、教育・トレーニングの場の変革、教育者・トレーナーの能力開発、若年層のエンパワメントと活動の促進、および地域レベルの持続可能な解決方策実施促進について議論されました。
会議についての詳細は、会議のウェブサイトをご参照ください。発表資料は関連ファイルのタブからご覧いただけます(英語のみ)。