健康と環境に焦点を置いた電子廃棄物アカデミー、エルサルバドルで開催

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  • 2014年6月12日     La Libertad

    開発途上国において電子廃棄物管理が深刻な問題になっていることが、先ごろエルサルバドルで開催された管理者向けの電子廃棄物アカデミーで明らかになりました。同アカデミーは、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)のドイツにおけるオペレーティング・ユニットであるSCYCLE(持続可能なサイクル)が、電子廃棄物問題を解決する(StEP)イニシアチブの旗振り役として、中米・メキシコ地域のバーゼル条約地域センターと連携して開催しました。

    1週間の会期を4月4日に終えたこのアカデミーは、2012年にガーナで初めて開催され、今回が2回目になります。「アーバン・マイニング(都市鉱山)」に関する知見を共有し、国際連携と協力を促進することで、科学者向けの補完的イベントとともに、ローカルレベルのソリューションによって、拡大する国際的懸案事項を解決することが可能になります。

    アフリカやアジアと比べるとその量ははるかに少ないのですが、ラテンアメリカやカリブ海諸国は、先進国からの廃棄冷蔵庫、小型家電、テレビ、携帯電話、コンピュータ、モニター、電子玩具、その他の電気電子製品廃棄物の引き受け手として、その重要性を増しています。

    また、同地域では中流層が急速に拡大しており、その購買力の高まりとより良い生活への憧れから、中古品ではない電子製品や電気機器の購入が増大しています。世界銀行によれば、同地域では過去10年間に中流層が50%増加して人口の32%を占め、同地域の歴史上初めて貧困層をしのぐに至っています。

    UNU-IASとStEPがまとめたデータによると、同地域の30の国における2013年時点の電子廃棄物量は、一人当たり19.1キログラムのバハマを頂点として、平均で一人当たり7.5キログラムですが、2017年までにおよそ19%増加し、2017年時点で8.9キログラムに達すると見込まれています。

    電子廃棄物に関する規制を導入しているのは南米、ラテンアメリカ、カリブ海諸国のおよそ3分の1に過ぎず(ブラジルが最多で、それに続き、アルゼンチン、コロンビア、ペルー、ボリビア、チリ、メキシコ、コスタリカ)、その他の国々では具体的な法的規制について提案中であるか、あるいは積極的に取り組んでいるという状況です。

    電子廃棄物は、世界的に見て最も急速に拡大しつつある廃棄物のひとつです。UNU-IAS SCYCLEとStEPイニシアチブは最近、初めてグローバルe-wasteマップという形でデータを発表しました。それによれば、世界で排出される電子廃棄物は2017年までに年間6,540万トンに達し、2012年から30%を超える増加が見込まれています。

    こうした状況のなか、竹本和彦UNU-IAS所長は次のように述べています。「電子廃棄物リサイクル産業には大きなビジネスチャンスが期待できます。2012年には98億ドル規模でしたが、2010年代末までには400億ドルを超える規模に達すると見込まれ、資源がより貴重になり浪費が許されなくなっていることで、『廃棄物管理』は『資源管理』と大きく変化しています」

    管理者向けの電子廃棄物アカデミーは、マルチステークホルダーの連携と協力を育成し継続すること、すなわち、個別の専門分野というレンズを通して電子廃棄物問題を扱うのではなく、全体的見地からの検討を目的としています。アカデミーでは、電子廃棄物に関わる政策や社会学的問題から、技術や経済またグループ・プロジェクトや現地査察に至るまで、専門家によるレクチャーやプレゼンテーションが開催されます。

    エルサルバドルで開催された電子廃棄物アカデミーには、スイス連邦材料試験研究所(Empa)/スイス経済省経済事務局(SECO)、オランダ金属電気製品廃棄協会(NVMP)、米国環境保護庁(EPA)、ノキア、グローバル・eサステナビリティ・イニシアチブ(GeSI)、ヒューレットパッカード、デル、国連工業開発機関(UNIDO)、World Loopが協賛し、ラテンアメリカの10カ国から21名、アフリカから3名が参加し一同に会しました。また、マサチューセッツ工科大学やEPA、スイスの世界資源フォーラム、ベルギーの貴金属リサイクル事業者ユミコアから14名の専門家が参加し、さらにITメーカー(デル、ヒューレットパッカード、ノキア)およびUNIDOから7名の調整役を得ています。