「気候変動・水紛争・人間の安全保障」報告書が発表されました

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  • 2013年9月4日     Bonn

    気候変動は、現在 —— そして今後も —— 環境、社会、経済状況に広範囲な影響を及ぼします。

    気候変動とそれに関連した(洪水、干ばつ、海面上昇といった)極端な気候現象の増加は、人々への影響だけでなく、国や地域の政治また安全保障上のリ スクにつながるという認識が強まっています。人々そして各国政府はそうした気候変動の影響に適応できる力を有しているものの、その能力は一様ではありませ ん。

    国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)は、他の13の国際調査チームと共に、気候変動・水紛争・人間の安全保障 (CLICO) プロジェクトに参加しました。CLICOプロジェクトでは、水不足、干ばつ、洪水といった気候変動の影響が、社会的緊張に悪影響を及ぼし、人間の安全保障 において地中海地方、中東、サヘル地域における国内外の紛争を激化させているのか、それとも協力と平和の促進に役立っているのかを調査しています。

    調査結果からは、気候と水という環境的要素、また社会経済的、制度的、政治的状況のすべてが、人間の安全保障(またその不安定化)につながる重要な 促進要因であるということが確認されていますが、いずれの要素がより重要であるかは、具体的にそれらがどのように相互作用しているかによって異なります。

    気候変動によって人間の安全保障が損なわれる可能性があるかどうかの判断には、適応プロセスが重要な役割を果たします。調査からは、個人や集団の適 応であれ、また国主導の場合であっても、適応プロセスは、不安定化の軽減と増大のいずれにもつながりうることが判明しています。

    最終的なCLICO総合報告書である「気候変動・水紛争・人間の安全保障:地中海地方、中東、サヘル地域を対象とした評価と政策ガイドライン」は、気候変動の影響、脆弱性、紛争と協力、また人間の安全保障についての、さまざまな地理的規模また多様な歴史的背景を踏まえた総合的評価となっています。

    調査によれば、水に関わる紛争と協力という点でこれら地域においては、わずかながら対立よりも協力が多く見られます。また、気候変動と水紛争の関連 性よりも、政治的、経済的、社会的要素と水関連紛争の関連性がより強いことが示されています(ただし将来的にはこの関係が変化する可能性もあります)。

    報告書では、適応能力の向上と脆弱性の低減、従って気候変動に対する人間の安全保障の強化という点において、政策決定者の参考となる幾つかの提言が示されています。

    上記のリンクあるいはUNU-EHSウェブサイトの 気候変動・水紛争・人間の安全保障 (英語)ページから、CLICOレポートの全文をダウンロードいただけます。