2012年10月31日 東京
10月19日(金)、国連大学は、国連大学短期集中講座(UNU-IC)の2012年秋期の参加者56名の卒業を祝し、式典を開催しました。本講座は国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)が実施するものです。
UNU-ICの講座は6週間にわたって行われ、修了すると単位が認められます。コースは単独、またはUNU-ISPの修士課程と博士課程プログラムの一環として履修することができます。
32カ国から参加した受講生は、国際平和と安全保障(IPS)、地球変動とサステイナビリティ(GCS)、国際協力と開発(ICD)、国連システムと地球規模課題(UNSGC)のコースを修了しました。
UNU-ICのセッションは、国連機関の代表、外交官、国連大学スタッフなどの招待客の前で、学生が討論会を行って締めくくるのが伝統となっています。3コースの学生がそれぞれの研究に関連するテーマについて簡単な分析を発表しました。
まずGCSグループの発表では、北米の水問題と、地球温暖化と海面上昇により小島嶼国が直面する問題に重点が置かれました。続いてICDコースからは、ジェンダー・エンパワーメントと開発、グローバリゼーションの諸問題、マーシャル・プランのようなアフリカ援助プログラムの可能性についての発表がありました。そして最後に、IPSコースの学生が、国家分裂、人道的介入、国家主権の問題、国際テロリズム、国際違法麻薬取引について発表を行いました。
卒業式典には、世界銀行の谷口和繁氏、アジア太平洋統計研修所のアルマン・バイダル・バクートニア氏、オーストラリア大使館のジョージーナ・ダウナー氏、ドイツ大使館のクラウス・アウアー博士をはじめ、サラス・アバヤクーン教授、菊地靖教授、ジョン・クラマー教授ら、国連大学からの代表3人を含めた討論参加者が出席し、UNU-ISPのヴェセリン・ポポフスキー博士が討論の司会を務めました。
閉会式では、学生に修了証が授与されました。
式典の司会を務めたUNU-ICの副ディレクターであるクラマー教授は、式典の開会の挨拶に続き、UNU-ISPアカデミック・プログラム・ディレクターであり、GCSの講師でもあるスリカーンタ・ヘーラト博士に祝辞を求めました。
ヘーラト博士は学生たちの努力と意欲を称えました。さらに、学生の経歴や職業が多様であるにもかかわらず、「世界的懸念に対する関心が共通しています」と述べました。博士は学生たちに、引き続き全体論的な方法で物事を捉え、「持続可能であり、かつすべての人に受け入れられる解決策が得られるように、さまざまな分野から問題解決に向けた知識や手法を組み合わせること」を強く呼びかけました。
全4コースの各コーディネーターは、コースで扱われた題材についての概要を示したのち、修了証の授与を行いました。
最後に、各コースの学生の代表が演壇に立ち、自分たちの経験について意見を述べました。たとえば、チェコ共和国から参加した学生は、次のように述べています。「生物多様性が自然システムの回復力(レジリエンス)を高めるのと同じように、学生や文化の多様性によって交流と意見交換が深められます。こうしたダイナミクスにより、私たち学生はお互いから学ぶことができました」