2016年12月29日
2016年12月19日、東京の国連大学本部で、日本の国連加盟60周年を祝う式典が開催されました。式典では、日本と国連のこれまでの長きにわたる実り多い関係、そして人間の安全保障の分野におけるリーダーシップや国連平和維持活動への多大な支援といった日本のこれまでの貢献を振り返りました。
日本は、国連加盟国となって以来60年間にわたり、持続可能な開発のための2030アジェンダ、仙台防災枠組2015–2030、気候変動に関するパリ協定を始めとする合意形成においても、重要な役割を果たしてきました。
式典では、皇太子殿下、安倍晋三首相、岸信夫外務副大臣、デイビッド・マローン国連大学学長、元国連事務次長の明石康氏のスピーチが行われました。
また、潘基文(パン・ギムン)事務総長、アントニオ・グテーレス次期事務総長、ピーター・トムソン国連総会議長などの国連トップからのビデオメッセージが流されました。
日本はこれまで国連の確固たるパートナーとして、国連の三つの柱である、平和と安全、開発、人権に大きく貢献してきました。
来賓の方々は、東ティモール、カンボジア、そして最近の南スーダンなどへの「部隊」派遣など、国連平和維持活動に対する日本の強力な支援を強調しました。国連安全保障理事会の非常任理事国を加盟国最多の11期にわたって務める日本は、多国間主義の推進者であり、大きく異なる意見の調整にも努めてきました。
皇太子殿下は、日本の戦後復興において国連が大きな役割を果たしたことに感謝の意を表されるとともに、「平和で安定し、持続可能な社会を実現」するよう、日本が今後も国連や加盟国と協力していくことへの期待を表明されました。
デイビッド・マローン国連大学学長は、「今日は重要で有意義な関係を祝う日です」と述べました。
安倍首相は、日本と国連の関係は今後も強固であろうと表明する一方、国連改革、とくに国連安全保障理事会の改革の必要性を強調しました。
国連からのビデオメッセージも、日本の重要な役割への感謝を伝えるものでした。
潘基文国連事務総長は、「日本はこれまで国連憲章に対する強いコミットメントを示し」、人間の安全保障を強力に推し進めてきたと述べました。
アントニオ・グテーレス次期国連事務総長は、国連難民高等弁務官を務めた際、人道支援に対する日本の寛大さと熱意にたびたび感銘を受けたと述べ、また、事務総長として、日本の「人間の安全保障における政治的・知的リーダーシップ」に期待していると述べました。
明石氏は基調講演の中で、意見の違いを乗りこえて協力を追求することの必要性を強調し、大きな変化が起きている現在の状況においても、加盟国は国際的な努力の視点を見失ってはならないとして警鐘を鳴らしました。
基調講演に続き、日本と国連の関係の今後の展望に関するパネル・ディスカッションが行われました。パネリストは国連の役割を高く評価しながらも、世界的なナショナリズムの高まりと国連の有効性の限界への懸念を示しました。また、国連の改革および加盟国間のいっそうの協力の必要性を強調する一方、それでも国連は、「不完全だが不可欠な」機関として、国際協力のきわめて重要な場であり続けると述べました。
記念式典ではその後、日本の親善大使の方々などによるトーク・セッション、模擬国連の大会に参加した高校生・大学生によるプレゼンテーションが行われ、元国連事務次長の赤阪清隆氏の閉会の辞をもって式典を終了しました。