コロナでどう変わった?UNU-IIGH研究者たちの経験

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  • 2022年6月23日     クアラルンプール

    男性とテレビ電話をする女性の様子

    国連大学システムの13の研究施設の1つである国連大学グローバルヘルス研究所(UNU-IIGH)は、さまざまな背景、専門分野および経験を持つ研究者たちと専門家たちを集め、世界の保健における優先課題に取り組んでいます。

    研究と政策をつなぐネクサス(接合点)として活躍するUNU-IIGHは、グローバルヘルスに関するエビデンスを政策に転換することや、ジェンダーと保健、そしてグローバル・サウスにおける能力構築に焦点を当てて活動していますが、所属する研究者たち一人ひとりがその活動に貢献しています。

    2020年初頭、新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)によりロックダウンやソーシャル・ディスタンスの措置が講じられました。UNU-IIGHではリモート・ワークへと移行し、さまざまな地域で在宅勤務する研究者やコンサルタントを迎え入れた。それ以来、2年間にわたり仲間たちやチームが世界各地で複数のタイムゾーンをまたいで作業するようになりました。その結果、UNU-IIGHではさらに多様でダイナミックなグローバルヘルス専門家グループがつながって活動し、遠隔恊働が盛んに行なわれる環境が整備されました。

    UNU-IIGH研究者のジョハンナ・リハ、ザイダ・オース、ジャッキー・スティーブンソン、そしてリフカ・ルーマニーに、ポストコロナの仕事環境に関する経験や、その経験をどう生かしているか、また、グローバルへルス分野にポジティブな影響をもたらすための共同作業のコツについて話を聞きました。

    Q:グローバルへルスや公衆衛生分野におけるご自身のキャリア形成と、UNU-IIGHに入った経緯について教えてください。

    ザイダ:公衆衛生にたどり着くまで、回り道をしました。6年前、私は写真の建物(ステレンボッシュ大学心理学科)の中で、新たなキャリアに思いを巡らせていました。

    ステレンボッシュ大学(南アフリカ)建物外観

    私はある友人とそこの階段に座り、次に起こることを推し量ろうとしていました。会話の中で、彼女は、医師である父親が大学院で公衆衛生を学んでほしがっていると話しました。私たちは笑い合い、冗談めかして「公衆衛生なんて、私たちが進みたい分野じゃない」と言いました。けれども今、私は公衆衛生の博士課程を修了間近で、この上ないほど幸せです。この皮肉な巡り合わせを思うと笑ってしまいます。

    UNU-IIGHに入り、自分自身を特定のカテゴリーに押し込めないことが重要だと学びました。選択肢を広く探求し、自分の旅の行き先がどこになっても恐れないことが大切です。

    ジャッキー:私の計画は、博士号を取得し、定職に就き、子どもを産むという単純なものでした。ところが、私の母国の詩人であるロバート・バーンズが(だいたい)言っていたように、「この上なく入念に準備した計画でもしばしば失敗する」のです。(その一因は指導教官が4人いたことで、これも計画にはなかったことですが、)博士号の取得には予想よりも長い時間がかかりました。そして、博士号を補完する目的で短期で引き受けたコンサルタント業務が、結果的に私のスキルと仕事のスタイルにぴったり合っていることが分かったのです。

    UNU-IIGH研究者のジャッキー・スティーブンソン UNU-IIGH研究者ジャッキー・スティーブンソン

    赤ちゃんは私の計画についてあまり気にしてくれませんでした。最終的には、博士号取得に向けた口頭試問を受けた翌日に息子が誕生しました。

    世界的なパンデミックの最中に産休から復帰した私は、コンサルタントとして働き続けるという新たな計画が成功するかどうか、本当に心配でした。ですが、幸運なことに、最初にWHOで長期のチャンスをつかみ、その中でUNU-IIGHの素晴らしい仲間たちと密接に協力して働いたことが、このチームに参加するチャンスにつながったのです。

    私は今、才能豊かで聡明で勤勉なUNU-IIGHのメンバーの素晴らしいチームに加わっています。メンバーは皆、グローバルへルスに情熱を持ち、世の中を良くしようと尽力しています。これは、私が計画したであろうどんな夢よりも素晴らしいことです。

    人生ではすべての計画が空中に放り投げ出されてしまうことも多いですが、放り投げ出されたものが着地するとき、新しいチャンスが開けることもあります。昔の自分にそのことを教えてあげたいです。最高のチャンスは、気付かないうちに訪れることもあるのです。

    Q:コロナ禍で得られた教訓は?リモート勤務中に生産性ややる気を保つことに役立った新たな趣味や習慣は?

    リフカ:パンデミックによるロックダウン中、ガーデニングに挑戦しようと考えました。ガーデニングの経験はあまりなかったのですが、ずっとしてみたいと思っていました。自宅で過ごさざるを得なくなった多くの時間を庭の世話に費やせたらいいと楽観的に考えていましたし、有意義に過ごせるとも思っていました。でも結局、ニュースを聞いて疲弊し始め、しばらく打ちのめされて落ち込みました。セルフ・ネグレクト状態になり、それに伴い庭も放置してしまったのです。植物はすべて枯れました。

    (パンデミック中に)UNUで働き始めた頃、少し希望が出てきて、もう一度ガーデニングをやってみようと考えました。

    母のポーチュラカリアから挿し木をして自分の庭に植えました。丹精を込めて育てていたのに、徐々にすべての葉が落ちてしまいました。ある時、枯れ枝のようになったその木を見て、地面から引っこ抜きたい衝動にかられました。「また枯らしてしまった」そう思いました。

    それでも、何となくそのまま待ってみようと考えたのです。水やりを続け、世話し、肥料を与え…そう、時には話しかけたりもしました。そして数カ月後、驚くべきことにその木は蘇ったのです。さらに、ポーチュラカリアを増やすことにも何とか成功し、今ではあちこちで育てているだけでなく、人に譲ったりもしています。

    ポーチュラカリア(植物)

    この写真は、やり続けることの重要性を忘れないために撮りました。また、うまくいかないことがあっても、一歩退いて休んでからやり直せばいいということを思い出させてくれる一枚でもあります。前向きな態度を保ち、経験から学ぶように心がけるしかないのです。

    ジョハンナ:関心がある保健分野だけでなく、その他の分野についても、読書の習慣をつけることが大切です。

    読書や、最新のエビデンスを常に把握しておくことが日々の業務の一環である(研究という)職業に就くと、とにかく仕事のために必要な読書をすれば十分だと思いがちです。

    でもこれは、必要最低限なことでしかないと、心から信じています。

    天井まで届く書棚が並ぶ図書館内の様子

    仕事に必要なものだけでなく、その他の本や記事も貪り読んでいた時期に、書く能力が向上したことに気が付きました。いくつかのアイデアをつなげられる、「ピンとくる」瞬間が増えました。そして、既成概念にとらわれずに考えようという気持ちになれたのです。

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    この記事は、UNU-IIGHの「あの頃の自分に伝えたい(I Wish I Knew)」シリーズのブログを翻訳して転載したものです。元の記事はこちらからご覧ください。