エンリケ・ペニャ・ニエト大統領、国連大学で講演

, ,

News
Related Files
  • 2013年4月11日     東京

    2013年4月9日(火)に国連大学本部で、メキシコ合衆国のエンリケ・ペニャ・ニエト大統領を迎えて、第21回ウ・タント記念講演が開催されました。同大統領は、2012年12月に大統領に就任して以来、初の日本およびアジアへの公式訪問中でした。

    エンリケ・ペニャ・ニエト大統領は、国際舞台におけるメキシコの役割、さらに具体的には、アジア太平洋地域においてメキシコの存在を高める構想について紹介しました。とくに、在任中に政府が実施する政策が、どのようにメキシコの繁栄の促進を目指しているかについて取り上げました。

    講演の中で、同大統領は、気候変動、深刻な貧困や不平等に関する問題、世界的流行病やテロなど、現代世界の大きな課題を解決するためには、各国が協力し、グローバルな責務を担うことが必要であると強調しました。また、メキシコの治安がここ数年の間で悪化していることに触れ、暴力の根絶と、「効果的かつ責任のある方法で貧困レベルを大幅に低減することを目的とした社会的性格を持つ」公共政策を通じて、「包括的なメキシコ」を促進するというコミットメントを強調しました。

    教育のテーマでは、メキシコの基礎教育の促進は大きな成功を収めたため、今後は教育の質の向上と高等教育へのアクセスの拡大に重点を置くべきであると論じました。不平等を軽減し、質の高い教育に投資することでのみ、メキシコは経済成長を持続しながら、包括的で繁栄する国家になることができると主張しました。

    景気刺激を図るために、メキシコは、公的債務の抑制、国家資産の増加、インフレ率の引き下げ、約4パーセントの金利目標など、マクロ経済対策を実施しています。こうした経済促進対策に沿って、同大統領の政府は、議会に財政赤字ゼロに向けた妥協案を提示しました。これは、公的予算の責任ある執行を目指すものであり、本予算案は結果的に承認されました。

    ペニャ・ニエト大統領は、国際舞台におけるメキシコというテーマに重点を置いて、メキシコは引き続き世界においてその存在感を高め、国際法を擁護し、自由貿易を促進し、国際的な世界秩序の発展に積極的に貢献する国としての役割を果たすと述べました。また、グローバル化した世界においては、あらゆるパートナーの間で発展と繁栄を共有するべきであると強調し、発展と国家間の協力を促進する積極的かつ責任のあるグローバル国家になるよう最善を尽くすと断言しました。

    さらに、メキシコはラテンアメリカと北米をつなぐ特有の位置にあるので、経済貿易拡大の大きな可能性を秘めていることや、日本をはじめとしたアジア太平洋諸国との友好的な関係がメキシコにとっては不可欠であることを主張しました。メキシコは、貿易関係、相互投資、学術交流を強化するために、アジア太平洋地域に好機を見いだしています。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が参加11カ国の経済関係を強化すると同時に、メキシコの生産性、生産高、競争力を高めることを期待して、日本がTPPに参加する意向を支持すると述べました。

    ペニャ・ニエト大統領の講演に続き、武内和彦国連大学副学長の司会のもと、活発な質疑応答が行われました。質疑応答において、同大統領は、外交団および聴衆からの教育改革やTPPに関した多数の質問に回答しました。 TPPについては、同協定によりメキシコはメンバー国との戦略的な同盟をさらに強化できると答えました。また、日本は同協定に参加するべきであり、メキシコがラテンアメリカにおける日本の最大の社会経済上の貿易相手国であることを考えると、二国間関係を最大限に高める大きな可能性があると述べました。

    同大統領は、誰もがあらゆる問題について、メキシコ政府に明確さと透明性を期待しており、その新たな妥協点を見出しつつ、メキシコは責務あるグローバル国家としての役割を高めていくよう努力すると述べて、講演を締めくくりました。

    エンリケ・ペニャ・ニエト大統領のスピーチ音声(スペイン語 / en Español)

  • Transcript of UNU Lecture by President Enrique Peña Nieto - 09 April 2013 (スペイン語)

    (65.6 KB PDF)