2023年10月15日
国連大学のチリツィ・マルワラ学長が、技術ブリーフ「持続可能な開発のための半導体チップ」を発表しました。
この技術ブリーフの目的は、半導体チップの実際の発展に沿った政策転換を提言することです。政策転換や戦略の推進においては、持続可能性の達成に重点が置かれなければなりません。チップ、すなわちデータ信号を伝送する電子回路が組み込まれた小型半導体は、スマートフォン、電気自動車、医療機器など、多くの技術に不可欠です。また、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)のような新技術の開発にも不可欠であり、例えば、再生可能エネルギー、ヘルスケア、精密農業、航空宇宙などの産業にも応用されています。チップとその活用は、持続可能な開発にとって極めて重要です。持続可能な開発へのアプローチとは、将来の世代のための資源や可能性を損なうことなく、現在の要求を満たすことを目指す長期計画を指します。
現在の世界的な半導体サプライチェーンは、米国、台湾をむ中国、韓国といった一部の国に極端に集中しています。このような供給網の集中は、新型コロナウイルスの大流行や最近のウクライナ紛争のような不測の事態が起こった場合に、業界を混乱に陥れやすくしています。さらに、半導体の世界的な供給の安全性と強靭性に対する懸念も生じており、このサプライチェーンの拡大とチップの増産の要望に対処する必要があります。供給網の集中は、さまざまな分野で世界的に多大な影響をおよぼす混乱を引き起こしかねず、リスクが高いため、より分散化された持続可能なものにすべきです。また、アナログ半導体(連続的な電気的信号の処理や操作をするように設計された半導体)、AIチップ(AIに求められる複雑な数学的計算を効率的に実行するように設計された半導体)、量子チップ(量子力学の原理に基づく半導体)による、この分野における次世代の革新的な技術の膨大な可能性を、現在の供給網は考慮していないのが現状です。
技術ブリーフは下記リンクからダウンロードいただけます。