2015年11月25日
国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS) は2015年11月17日、世界リスク報告書2015年版の出版イベントを行いました。
世界リスク報告書2015年版は、災害リスクと食料安全保障および食料不足の関連性を重点的に取り上げています。報告書は、世界171カ国の自然災害(例:洪水、暴風雨、地震)に対する脆弱性や遭遇しやすさを体系的に評価し、災害リスクの視点からランクづけした世界リスク指標(WRI)を背景として、食糧安全保障を考察しています。
食料不足は災害リスクを高めます。食料安全保障が確保されない場合、人々は自然災害の影響を受けやすく、災害リスクが高い地域に追いやられます。
さらに、リソースが限られる状況では、自然災害への効果的な対応能力が制限されます。世界では、25億人が農業に依存して暮らしています。農産物や家畜や輸送手段が自然災害によって打撃を受けると、人々の生活が崩壊の危機にさらされます。食料安全保障への投資は、自然災害に弱い社会の脆弱性を軽減させます。逆に言えば、災害リスクを軽減させるための投資には、食料安全保障を改善させる効果があります。
例えば、2015年にネパールで発生した地震は、この国の食料安全保障に深刻な影響をもたらしました。その一方で、災害に対する脆弱性の高さは食料不足に関連していることが、このケースから伺われます。辺ぴな山岳地域に住む人々の70パーセントが、この危機的状況において食料を得られず、あるいはごくわずかな食料しか得られませんでした。
世界リスク報告書2015年版は、自然災害に対する国々の脆弱性を軽減させるため、国際社会は食料安全保障に投資するべきであると結論づけ、具体的な政策提言を行っています。
【参考】