2024年3月6日 東京
国連大学のチリツィ・マルワラ学長が、技術ブリーフ「アルゴリズム・バイアス: 回避可能なものと不可能なもの」を発表しました。
この技術ブリーフの目的は、人工知能(AI)と機械学習という急成長分野において大きな課題となっているアルゴリズム・バイアス(アルゴリズムによる偏見)を回避が可能なものと不可能なものとを区別し、それぞれに対し政策を提言することです。
テクノロジーと倫理規範との関係が進化し続けるなか、回避可能なアルゴリズム・バイアスと不可避なアルゴリズム・バイアスの違いを理解することは、政策立案者、開発者、消費者にとってますます重要となっています。
透明性、多様性、継続的なモニタリングに重点を置いた積極的な戦略が回避可能なアルゴリズム・バイアスへの対処に資する一方、社会現象の複雑さ、公正さに対する多様な概念、絶えず変化する社会規範によって回避が不可能なバイアスもあるとマルワラ学長は強調しています。そうした中で完全にバイアスのないアルゴリズムは原則として実現不可能だということを認めたうえで、継続的な改善とバイアスの地道な削減に重点を置くべきであるとも主張しています。
また具体的な提言として、製薬業界における「副作用の全くない薬はない」という考えに則った副作用への対処戦略が、「バイアスの全くないアルゴリズムはない」という考えに応用でき、こうしたバイアスへの対処に効果的であることを図を用いて説明しています。
技術ブリーフは下記リンクからダウンロードいただけます。