E-waste(電子ごみ)が中古車に積載され不法にナイジェリアへ持ち込まれている実態が明らかに

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  • 2018年4月19日     ボン

    国連のシンクタンクである国連大学(本部・東京)は、バーゼル条約アフリカ地域調整センター(BCCC Africa)とともに、アフリカ・ナイジェリアに対する電気電子機器廃棄物(電子ゴミ、E-waste)の輸出の実態について調査を実施し、その結果を公表しました(注1)。

    調査の結果、2015年と2016年に他国からナイジェリアに送られた中古電気・電子機器(UEEE)は推定約6万トンで、そのうち少なくとも1万5,400トンは、バーゼル条約(注2)とEUの廃棄物輸送指令でともに禁止されている、機能しない廃棄物(WEEE, E-waste)であることが明らかになりました。

     

    調査結果の主なポイントは以下の通りです。

    ◆ 中古車による違法なUEEE輸入

    • ナイジェリアに持ち込まれたUEEEのうちの約70%(4万1,500トン)は、国内の中古車市場向けの車両に積載される形で、毎年ラゴス(同国の港湾都市)に持ち込まれていることがわかった。中古車に積んでUEEEを持ち込むルートは、これまで十分に解明されておらず、こうして輸入されたもののほとんどは正式な申告はされていなかった。
    • RORO船(roll-on/roll-off, 車両甲板があり車を自走で搭載できる船舶)に積載のUEEEの98%はEU加盟国から持ち込まれており、残りはアメリカ合衆国からとなっている。

    ◆ コンテナによる輸入

    • 輸送用コンテナで持ち込まれたUEEEは1万8,300トンで、その60%以上は公式の書類上は家財や私物として申告されていた。また、自転車や家具など他の物と混じって運ばれていた。
    • コンテナで輸入されたUEEEのうち、29%がEU、24%が中国、20%がアメリカの港から運び込まれていることがわかった。

    ◆ UEEEの輸入元について

    • 調査対象となった輸入UEEEの約77%はEUから輸入され、最も多いのはドイツとイギリス(それぞれ約20%)であった。続いて、ベルギー(約5%)、オランダ(約8%)、スペイン(約7%)であり、中国と米国もそれぞれ約7%を占めていることがわかった。
    • 中国から大量のUEEEがナイジェリアに持ち込まれている点について、国連大学副学長欧州事務所サステイナブル・サイクル・プログラム(SCYCLE)のルーディガー・キュール代表は、「中国はこれまでUEEEを輸入する側だと思われていたが、もはやそうではなく、輸出側に転じている実態が明らかになった」と述べている。
    • 日本からの輸入は調査対象の32%で、全体で19番目の多さだった。

    ◆ UEEEの内訳

    • 重量で見ると、液晶テレビと薄型モニターが輸入UEEEの最も大きな割合(18%)を占めていた。しかし、その半分以上(55%)は機能せず、事実上の廃棄物であることが明らかになった。
    • 2番目に多かったのは、ナイジェリア政府が輸入を禁止しているはずのブラウン管テレビとブラウン管モニター(14%)であった。
    • 続いて多い順に、複写機(13%)、冷蔵庫(12%)、デスクトップ・コンピュータ周辺機器(7%)。

     

    (注1) この報告書は、輸入書類の審査を含め、UEEEと電気・電子廃棄物(WEEE)が集まる国のコンテナと車両を対象に実施した、初の長期的(16カ月)調査をもとにまとめられたものです。バーゼル条約アフリカ地域調整センター(BCCC Africa)と国連大学(UNU)が「E-waste問題を解決する(StEP)イニシアチブ」の一環として、ナイジェリア・ラゴスの2カ所の港湾でPerson in the Port Projectに基づき実施しました。

    (注2) バーゼル条約は、一定の有害廃棄物の国境を越える移動等の規制についての国際的な枠組み及び手続きで、機能しない UEEEのナイジェリアへの輸出入は、この条約によって禁止されています。

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    このプレスリリースは英語から翻訳・編集されたものです。調査の詳しい概要は、英文プレスリリースをご覧ください。
    調査の全文はこちらからご覧ください。
    また、調査の写真は、こちらよりダウンロードできます。(クレジット:UNU&BCCC-Africa 2016/17)

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    (お問い合わせ)
    国連大学広報部
    広報・メディア担当 横川
    Tel: 03-5467-1275、 Email:yokokawa@unu.edu