国連大学、ドレスデンに新研究所を開設

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  • 2012年12月10日     Dresden

    UNU-FLORESが、水、土壌、廃棄物資源の管理のための「ネクサス(関係)アプローチ」に重点を置く

    2012年12月10日、国連大学はドイツのドレスデンに国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所 (UNU-FLORES)を正式に開設しました。

    UNU-FLORESの使命は、とくに開発途上国や新興国が関心を寄せる、水、土壌、廃棄物資源の持続可能な利用と統合的管理に関する緊急性の高い問題の解決に取り組むため、研究、教育、高度な訓練、能力育成、知識の普及を通じて寄与することです。持続可能な開発の促進という国連大学の包括的な使命に沿って、UNU-FLORESは、資源管理に及ぼす地球変動の影響と、資源管理のグリーン経済との関係について考慮しながら、環境資源である水、土壌、廃棄物の持続可能な利用に向けた統合管理戦略の開発を進めていきます。UNU-FLORESは、対象および地域に特有の知識の創出と移転を促進するとともに、大学院教育および専門教育を提供します。

    UNU-FLORESは、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)とドイツ・ザクセン自由州から、それぞれ毎年約100万ユーロの資金援助を受けます。

    「ドレスデンは、研究、開発、教育の面でトップの街の1つです。その工科大学は、ドイツ連邦の優れたイニシアチブの一環として表彰された最初のドイツ東部の大学です 。国連大学は本日、ドイツ東部のドレスデンに最初の研究所を設置します。これは、地域の名誉であり、国境を越えて高く認知されるでしょう。国連大学は、世界中の13カ国に拠点を持ち、国際的な研究協力のための重要な手段です」と、ドイツ連邦教育研究大臣、アネッテ・シャヴァーン教授は述べました。

    「UNU-FLORESは、地球規模の課題の解決に寄与する、科学と政治との間の重要な接点である」と、ザクセン州科学芸術大臣であるフォン・ショルレマー教授は述べました。「私たちは、ザクセン州の政府内だけでなく、国際的な文脈の中で科学的研究の中心としての答えの探求を促進する必要があります。地球規模の課題とその複雑さを習得するための共同アプローチが必要なのです」

    UNU-FLORESの研究テーマは、システムとフラックスの分析、地球変動アセスメント、水の管理、土壌と土地利用の管理、廃棄物管理と汚染箇所に重点を置きます。UNU-FLORESは、包括的に相互に関連する資源(水や土壌など)を考慮しつつ、資源管理について真に統合的かつ地球規模の展望を得ることを目的としています。科学的な任務の中核は、従来の投入産出モデルから、連鎖・循環管理(linked cycle management)アプローチに転換することです。

    「UNU-FLORESの研究テーマは、「サステイナビリティ」という国連大学の広範なテーマの中心にあり、したがってこの新研究所は、国連大学の諸研究所においてすでに得られている、能力と専門知識の強化と補完に貢献していきます。」と、コンラッド・オスターヴァルダー国連大学学長は述べました。「ドイツ東部に新研究所を開設できることを嬉しく思うとともに、ドレスデン工科大学と緊密に連携することを楽しみにしております」

    UNU-FLORESの初代所長であるレザ・アーダカニアン所長(イラン)は、2007年より国連水の10年・能力育成プログラムの所長、そして国連大学欧州副学長(臨時代理)(2009~2011年)を務めました。アーダカニアン博士は、マックマスター大学(カナダ)で 水資源管理の博士号を取得し、シャリフ工科大学(イラン、テヘラン)の教職員です。それ以前には、水問題担当副大臣(2001~2005年)、上級事務次官(1998~2001年)、企画・経済問題担当副大臣(1989~1991年)/エネルギー省兼務、都市開発・自治体担当副大臣/内務省兼務(1987~1989年)など、イランで多数の公職に就きました。

    「ネクサス(関係)という考え方は近年、世界的に認知度を高めており、 UNU-FLORESは、水、土壌、廃棄物などの環境資源の持続可能な管理についてのネクサスアプローチを促進するイニシアチブの最前線に立って活動することを目的としています。UNU-FLORESの設立は、ネクサス・イニシアチブへの直接的な対応として見ることができます。」とアーダカニアン教授は強調しました。

    UNU-FLORESは、歴史的な都市中心部に近いドレスデン・ワールド・トレード・センターにあります。同研究所は、研究および研修の両面で、ドレスデン工科大学(TUD)環境科学部、その他の研究所や大学と緊密に連携していきます。

    UNU-FLORESのツインパートナーは、モザンビーク、マプトに設立される予定です。「ツイン研究所」という考え方は、能力育成および先進国と途上国との協力強化を目指す、国連大学のアプローチです。次の10年で実現されようとしているこの新しい取り組みは、すべての国連大学の研究所が「ツインパートナー」を持つことを求めています。つまり、各研究所が、先進国と途上国にそれぞれ1つずつ、少なくとも2つのキャンパスを持つというものです。

    UNU-FLORESの研究所は、国連大学システムに加わります。国連大学は、37年ほど前に国連の学術機関として設置されました。その使命は、研究、大学院教育と能力育成を通じて、国連とその加盟国を支援し、国連システムのためのシンクタンクとして機能することです。国連大学は、日本の東京に本部を置き、世界中に15の研究所を置くグローバルな大学です。その活動の重点は、伝統的な学問分野よりもむしろ、国連が関心を寄せる、緊急性の高い地球規模課題に置かれています。

    国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所(UNU-FLORES)の詳細について、また、アーダカニアン所長へのインタビューを希望される場合には、国連大学広報部までご連絡ください。(media@unu.edu, phone 03-5467-1212)